【株式市場特集】宇宙産業への政策支援が続く中、宇宙ビジネス関連株に注目

■大手重工から宇宙ベンチャーまで関連株に注目

 宇宙産業は、政府の強力な政策支援を受け、2030年代早期に市場規模8兆円を目指している。宇宙基本計画や宇宙戦略基金による支援に加え、JAXAとNASAの「アルテミス計画」など国際協力も進み、成長産業としての離陸が期待される。

 株式市場では、日経平均とNYダウの反発を受け、週明けのジャンプアップが期待される。しかし、6月中旬の日米中央銀行の金融政策決定会合によっては波乱も予想され、トリプル安懸念が強まれば、この圏外に位置する宇宙ビジネス関連株がニッチ株として急騰する可能性がある。

 大手重工3社から直近IPOの宇宙ベンチャーまで幅広く関連する宇宙産業は、政策支援と国際協力の追い風を受け、新たな成長産業として期待されている。金融政策次第の相場動向の中、この分野の銘柄が兜町の上空高く打ち上げられる展開も有力であり、注視が必要である。

■IPO株人気次第で宇宙ゴミ関連株から宇宙ソリューション関連の小型株に優先動意

 宇宙ゴミ除去事業を展開するアストロスケールホールディングス<186A>(東証グロース)が5日にIPOする。同社は赤字継続だが、3億個超の危険な宇宙ゴミ対策で高い成長性を秘めており、公開価格850円に対し初値2~3倍が予想される。昨年のispace、QPS研究所に続く宇宙ベンチャー3社目のIPOで、人気が高まれば兜町に宇宙ビジネス関連株高の前触れとなる可能性がある。

 宇宙関連でまず注目は、アストロスケールHDと同様の宇宙ゴミ関連株である。漁網技術を応用して開発実績のある日東製網<3524>(東証スタンダード)、宇宙ゴミ捕獲の超小型衛星の川崎重工業<7012>(東証プライム)、宇宙ゴミ観測システムの大興電子通信<8023>(東証スタンダード)、「宇宙実業社」をキャッチコピーとするスカパーJSAT<9412>(東証プライム)などとなる。このうち大興電子通信は、今3月期純利益の減益予想で株価が年初来安値へ下ぶれたが、配当は連続増配を予定しており、PER評価も7倍台と下げ過ぎを示唆している。このほかアストロスケールHDの株主に名を連ねるヒューリック<3003>(東証プライム)、オーエスジー<6136>(東証プライム)、三菱電機<6503>(東証プライム)、ANAホールディングス<9202>(東証プライム)、アイネット<9600>(東証プライム)などへのIPO人気の波及も期待される。

 宇宙ソリューション株でも、ISS(国際宇宙ステーション)「きぼう」の日本実験棟周辺システムのセック<3741>(東証プライム)、人工衛星データの無償利用プラットフォームを運営のさくらインターネット<3778>(東証プライム)、人工衛星のデータAI解析サービスのRidge-i<5572>(東証グロース)、スペーストランスフォーメーション(SX)の子会社を設立したINCLUSIVE<7078>(東証グロース)などである。ロケットエンジン部品の桜ゴム<5189>(東証スタンダード)、液体水素用ポンプの酉島製作所<6363>(東証プライム)、地球観測衛星のキヤノン電子<7739>(東証プライム)などの宇宙機器株とともに小型関連株人気を高めよう。

■基幹ロケットの「H3」関連の主力銘柄に波及し幅広く展開

 もちろん日本の基幹ロケットの「H3」ロケット関連株も外せない。プライムコントラクター(まとめ役)の三菱重工業<7011>(東証プライム)を筆頭に炭素繊維供給の東レ<3402>(東証プライム)、アルミ材供給のUACJ<5741>(東証プライム)、ターボポンプシールのイーグル工業<6486>(東証プライム)、慣性センサーの日本航空電子<6807>(東証プライム)、衛星収納のフェアリングの川崎重工業、ターボポンプのIHI<7013>(東証プライム)、エンジン燃焼器のSUBARU<7270>(東証プライム)などと続く。

 このほか人工衛星・探査機のNEC<6701>(東証プライム)、液体水素を全量供給の岩谷産業<8088>(東証プライム)、圧力センサーのミネベアミツミ<6479>(東証プライム)、ロケット追尾システムの浜松ホトニクス<6965>(東証プライム)、姿勢制御用サーボアクチュエーターのシンフォニアテクノロジー<6507>(東証プライム)、太陽光パネル回転軸の波動歯車のハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>(東証スタンダード)なども関連株の一角を形成する。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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