【どう見るこの相場】「確トラ」に「もしハリス」が激突の「もう一難」相場では足元重視の猛暑関連株にもう一つの夏相場を期待

どう見るこの相場

■予想可能性相場は意外とロングランとなる可能性も

 「一難去ってまた一難」である。前週7月第3週は散々であった。日経平均株価もダウ工業株30種平均(NYダウ)も、ともに今年最大の下げ幅などと乱高下し振り回された。日経平均株価もNYダウもともに4万円、4万ドルの史上最高値にいるのだから高値で強弱感が拮抗するのは当然の株価メカニズムではある。しかしこの乱高をもっとややこしくしているのが、「確トラ」となれば話は別となる。

 米国の大統領選挙は、6月27日に行われた第1回目のテレビ討論会でバイデン候補の選挙撤退論が強まり、トランプ前大統領の再選確率が、「仮トラ」から「ほぼトラ」に高まり、続く7月13日に発生したトランプ前大統領への銃撃事件でさらに「確トラ」にまで高まったとみられた。このためマーケットでは、早くも第2次トランプ政権を先取りする「トランプ・トレード」がスタートした。ただトランプ前大統領の政策スタンスは「ディール(取引)」中心で政策の一貫性については疑問符がつき第1次政権当時と同様の「トランプ・リスク」と背中合わせとなる懸念はつきまとう。

 実際に「確トラ」となっても、その大幅減税の継続が財政収支悪化につながるとして長期金利が上昇、低下を繰り返し、為替相場の円高・ドル安、円安・ドル高と乱高下した。また中国への高率関税を中心とした関税引き上げは、インフレ再燃の萌芽となるとともにバイデン政権の対中半導体輸出規制強化とともに、マーケットのコア銘柄の半導体株の株価を大きく下押した。さらにウクライナ・パレスチナの地政学リスクも、その和平提案は、さらに地政学リスクを増幅させる可能性を残しているとも指摘されている。

 この「確トラ」相場は、1週間で急激に株価的に織り込んだだけに、今週週明けからは「確トラ」に折り合いをつけリバウンド相場が発進するとの期待もあった。ところである。週明け22日早朝にバイデン大統領が、大統領選挙から撤退し後継にハリス副大統領を指名するというニュースが飛び込んできた。かねてトランプ前大統領は、ハリス副大統領が候補ならバイデン大統領より楽勝できると牽制していたその新大統領候補である。しかし「一寸先は闇」は政治の常識である。「もしハリス」となれが、「確トラ」シナリオは練り直しが必要となるに違いない。猛暑が続き日々、熱中症リスクに迫まられるなか、ご苦労なことに「一難去ってまた一難」、7月終盤相場は再び上に下に振り回されることを心配しなくてはならなくなる。

 そこで今週の当コラムでは、「確トラ」と「もしハリス」がせめぎ合うなか、その圏外に位置するカタリスト(株価材料)に注目してもう一つの夏相場を展望することにした。スクリーニングされたのは、猛暑関連株である。関東甲信地方は、前週18日に梅雨明けしたが、6月21日に梅雨入り以来、真夏日が続く猛暑に見舞われ、熱中症アラーム警報が相次ぎ発令され、熱中症患者の緊急搬送も続いている。この猛暑のプラス影響を受ける銘柄は、足元重視で「確トラ」と真逆で予測可能である。観測史上の過去最高気温となった昨年は、9月まで残暑が続き真夏日も過去最長となっており、この予想可能性相場は、意外とロングランとなるかもしれない。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■メガバンク株は業績修正や自己株取得が焦点、再編思惑も視野  銀行株やコメ関連株は盆休み明けの注目…
  2. ■日経平均史上最高値更新、夏枯れ懸念を払拭  前週末15日のマーケットは、お盆を象徴するかのように…
  3. 【ダブルセット・フルセット銘柄、夏休み明けも底堅さに期待】 ■上方修正・増配・株式分割の好材料銘柄…
  4. ■上方修正・下方修正問わず買い集まる異例の展開  3連休入りした9日の成田空港では、夏休みを海外で…
  5. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  6. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る