
■5回連続成功で信頼確立、宇宙ビジネス拡大へ追い風
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月26日、国産主力ロケット「H3ロケット」7号機の打ち上げに成功した。鹿児島県・種子島宇宙センターから発射されたロケットは、国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を運ぶ新型無人補給船「HTV-X」を予定軌道に投入した。これでH3の打ち上げは5回連続の成功となり、日本の宇宙輸送システムの信頼性が一段と高まった。今後の商業打ち上げや国際共同開発への参入を後押しする成果となった。
■H3-24W形態で最大能力、民間利用拡大の鍵に
今回の7号機は、三菱重工業<7011>(東証プライム)が開発してきた大型ロケットH3シリーズで最大の推力を誇る「H3-24W」仕様を採用。新型LE-9エンジン2基と固体ロケットブースタ4本を組み合わせ、ワイド型フェアリングを搭載した初のミッションとなった。主目的はISS補給と、HTV-Xによる軌道上技術実証である。HTV-Xは前機「こうのとり」の後継として開発され、ミッション終了後も最長1年半にわたり軌道上で実験プラットフォームとして利用できる。長期運用を通じて宇宙通信、推進、再突入制御などの先端技術を検証する。これにより、日本は長期的かつ多目的な宇宙利用技術を確立する段階へ進んだ。
■宇宙輸送コスト半減へ、産業競争力と民間投資を刺激
JAXAは今後、年間6回の打ち上げ体制確立と、コストを従来比で半減させる「1機50億円」水準への引き下げを目指している。ユーザーフレンドリーな設計と民間需要の取り込みにより、商業宇宙輸送市場への本格参入を図る構えだ。HTV-Xは将来、月周回有人拠点「ゲートウェイ」や民間宇宙ステーション向け補給にも対応可能な構造で、ポストISS時代を見据えた戦略機体とされる。打ち上げ頻度とコスト効率の改善は、宇宙関連産業全体の裾野を広げ、民間投資や企業連携を促す契機となる。
■関連銘柄に波及、宇宙テーマ株が再び脚光
今回の成功は、国内外の投資家に日本の宇宙技術力を印象づけた。プロジェクトをを統括・責任管理する(プライムコントラクター)の三菱重工業<7011>(東証プライム)を筆頭に、三菱電機<6503>(東証プライム)(サービスモジュール)、東レ<3402>(東証プライム)(炭素繊維)、UACJ<5741>(東証プライム)(アルミ材)、IHI<7013>(東証プライム)(ターボポンプ)、イーグル工業<6486>(東証プライム)(シール部品)、日本航空電子工業<6807>(東証プライム)(慣性センサー)などの供給網が形成されている。さらに、川崎重工業<7012>(東証プライム)、SUBARU<7270>(東証プライム)、NEC<6701>(東証プライム)、岩谷産業<8088>(東証プライム)、浜松ホトニクス<6965>(東証プライム)、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>(東証プライム)なども関連株として注目を集める。ロケット打ち上げ成功が続けば、宇宙開発関連銘柄への資金流入が再燃する可能性が高い。
■市場視点――「宇宙立国」実現へ企業連携加速
H3ロケットの安定運用は、政府の宇宙政策と民間主導の事業拡大を後押しする。商業衛星輸送や宇宙データ利用、月探査プロジェクトなど、複数の成長市場が連動して動き出す段階に入った。今回の成果は、技術面のみならず資本市場にも好影響を及ぼす可能性が高く、宇宙ビジネスを日本の新たな成長軸として位置付ける動きが加速する。投資家にとっても、H3・HTV-Xの成功は長期的テーマ投資としての「宇宙関連株」再評価を促すシグナルである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)























