【株式市場特集】「株券を枕に越年」戦略の注目点、12月期決算銘柄の権利取り最新動向

■上方修正・増配・自己株式取得を伴う銘柄の動向

 12月期決算企業のうち、業績を上方修正し、増配や自己株式取得を行う銘柄が注目を集めるだろう。特に、年末の越年戦略として「株券を枕に越年」する投資家が動く可能性が高まる。この背景には、12月26日の権利付き最終売買日が控える株式分割銘柄がある。全20銘柄のうち6銘柄が、上方修正、増配、自己株式取得、株主優待制度拡充を発表し、12銘柄が市場平均を下回るPER評価の割安株であることが特徴だ。越年作戦として、株式分割銘柄への権利取りは有力な選択肢となり得る。

■業績上方修正、増配、優待拡充、自己株式取得を同時公表銘柄も続々

 12月26日に権利付き最終売買日を迎える株式分割銘柄で、特異な動きをしたのはSTIフードホールディングス<2932>(東証スタンダード)である。同社は、今年11月14日に1対3の株式分割とともに、今12月期業績の2回目の上方修正、年間120円への2回目の増配を同時発表した。ところが株価は、同日終値から一時960円安と急落しており、さすがに同安値から売られ過ぎとして3日続伸し前週末13日に240円高と反発したところである。セブンーイレブン向けのデイリー総菜が、キャンペーン効果も加わって好調に推移しており、PERが14.1倍、配当利回りが2.58%と市場平均を下回って割安なことが権利取りの再考要因となっている。

 12月末を基準日に株式分割を予定している銘柄で同様に業績の上方修正、増配、株主優待制度拡充、自己株式取得などを同時発表した割安株は、このほか4銘柄を数える。コード番号順にあげると日本電技<1723>(東証スタンダード)、新日本空調<1952>(東証プライム)、オカムラ食品工業<2938>(東証スタンダード)、新報国マテリアル<5542>(東証スタンダード)、京成電鉄<9009>(東証プライム)となる。京成電鉄は、NIPPON EXPRESSホールディングス<9147>(東証プライム)とともに今回の株式分割で日経平均株価への換算係数が引き上げられる予定で需給思惑も随伴する。

■業績下方修正でも株式分割を予定し低PER放置のケースも

 またバリュー系の株式分割銘柄は、コード番号順にダイブ<151A>(東証グロース)、フクシマガリレイ<6420>(東証プライム)、ヒューマンクリエイションホールディングス<7361>(東証グロース)、アソインターナショナル<9340>(東証スタンダード)、建設技術研究所<9621>(東証プライム)と続く。ともに今期業績を下方修正したワイエイシイホールディングス<6298>(東証プライム)とユーユーレンティア<7081>(東証スタンダード)は同時に株式分割を発表しており、PERはそれぞれ11.4倍、9.4倍と割安である。

 ヘッドウオータース<4011>(東証グロース)とBuySell Technologies<7685>(東証グロース)は、PERがそれぞれ35.8倍、106.7倍)と割高だが、ヘッドウオーターは生成AI(人工知能)の大型案件の寄与で、BuySellはインバウンド関連需要でともに今12月期業績を上方修正しており、越年しても引き続き業績と株価の上ぶれ展開が想定される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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