【どう見るこの相場】2024年IPO銘柄は個々のカタリスト次第で4つのパターンでチャレンジ・リベンジ相場

■株主価値向上を目指すIPO市場の課題

 IPO(新規株式公開)市場は、2024年12月27日の2024年最終IPOから2025年2月3日の2025年第1弾IPOまで、1カ月超の休止期間に入っている。その空白を埋めるためなのか、2025年のIPO市場再開を先取りして比較感を働かせているのか、東証のグロース市場の上場基準厳格化検討への準備なのか、それともIPO銘柄がもともと持つ逆行高特性の再燃を期待しているのか、IPO市場が上に下にと賑わっている。2024年にIPOされた銘柄にはストップ高やストップ安、上場来高値や上場来安値を更新する銘柄が相次ぎ、忙しいことこの上ない。このなかでストップ高銘柄などは、日によっては全市場で12銘柄あったが、このうち4銘柄が2024年IPO銘柄で占められるなど存在感を発揮したこともある。

 IPOは、上場会社にとってはゴールであるはずはない。ベンチャーキャピタルが大株主のIPO株やフォンド筋の支援で経営再建をした再上場組などは、出口戦略としてIPOがゴールとなっている傾向はあるものの、本来は、成長可能性を追求・実現し株主価値を最大化するプロセスとしてのIPOである。ただ、株価的にはこと志とは異なって株主価値の最大化どころか株主価値の最小化が続いているケースも少なくない。

 昨2024年のIPO株は、86銘柄を数えたが、このうち前週末17日現在の株価が、公開価格と初値を上回っている銘柄は17銘柄にしか過ぎず、全体の20%弱にとどまる。初値が公開価格を下回った銘柄も19銘柄を数え、そのほとんどが上場来安値まで売られている。ということは、IPOから1年も経過しても株価低迷が続くことになり、株主からのブーイングも強まり、株主総会などが近付けば近付くほどそのプレッシャーに安閑としていられないことになる。この唯一でもっとも手っ取り早いソリューションは株高である。IPO株のリベンジが期待されることになり、新年相場入りとともにその走りが一部出てきたとも推察されるのである。

■Will Smart、3日連続ストップ高の背景とは?

 例えばWill Smart<175A>(東証グロース)である。同社株は、昨年4月16日に公開価格1656円でIPOされ初値を公開価格割れの1580円でつけいったんは1872円と公開価格をクリアしたものの、目下集計中の2024年12月期業績を下方修正して赤字幅が拡大し、上場来安値740円まで大きく売られた。それが年明けの1月15日に京王電鉄<9008>(東証プライム)の紅村康会長が、同社顧問に就任したことで、同社のバス、鉄道などのモビリティ向けシステム開発のプラスになるとして3日連続のストップ高を演じ1347円までリバウンドした。

 昨年IPOの86銘柄には、Will Smartと同様にリベンジした銘柄がある一方、前週末17日の株価が上場来高値を更新しチャレンジ相場を継続している銘柄もある。その詳細をウオッチすると、個々のカタリスト(株価材料)次第でチャレンジ相場やリベンジ相場を展開する4パターンに分かれた。足元の全般相場そのものは、海外では米国のトランプ大統領の正式就任、国内では日本銀行の金融政策決定会合などでなお波乱余地と予断を許さず、あるいは新春相場のアノマリーである「節分天井、彼岸底」の可能性も否定できないかもしれない。仮にそのケースでも、この外部環境の圏外に位置して個々のカタリスト次第でチャレンジ相場、リベンジ相場を展開するIPO株には逆行高の目が残る。86銘柄から有望銘柄をスクリーニングしトライするのも、一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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