出遅れ株は深追いするな=犬丸正寛の相場格言

【先人の教えを格言で解説!】
(犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に残した相場格言を定期的に紹介。)※最新の情報に修正を加えてあります

■出遅れ株は深追いするな(天井つかみ懸念)

出遅れ株を追いかけすぎるのは危険です。相場の終盤で買われる出遅れ銘柄は、天井をつかんでしまう可能性が高いため、慎重に対応し、短期勝負を心がけるのが賢明です。言葉にすれば簡単ですが、実際の相場では冷静な判断が難しく、投資相談でも出遅れ銘柄に関する質問が非常に多いのが現実です。失敗を避けるためにも、この格言をしっかりと胸に刻んでおきましょう。

■出遅れ銘柄とは?

「出遅れ」とは、他の銘柄と比べて値上がりが遅いことを指します。一般的に市場で最初に買われる銘柄には、以下の特徴があります。

・将来に対する成長期待がある
・流通している株数が比較的少ない(小型株)
・収益も安定している

現在であれば、環境関連、資源・省エネ、高齢化対応、人手不足、防衛産業など、将来性が期待される分野の銘柄がこれに該当します。こうした人気銘柄は、マーケット全体をけん引する役割を果たしながら上昇していきます。

しかし、人気銘柄といえども、上昇し続けることはありません。やがて頭打ちになり、投資家の視線はそれまで動いていなかった「出遅れ銘柄」に向かうようになります。出遅れ銘柄は、トレンドには乗っていないものの、財務が健全で利益水準も高いことが多いのが特徴です。数値面では、

・PER(株価収益率):市場平均より低い
・PBR(株価純資産倍率):1倍前後と低め
・配当利回り:2%程度

つまり、「割安」と評価される銘柄です。しかし、ここで注意すべきなのは、「割安=上昇する」とは限らないことです。「割安に買いなし」という格言があるように、割安に放置されているのにはそれなりの理由があります。夢がなく、市場での人気がないため、上昇しにくいのです。

■日経平均との関係

日経平均は、まず人気銘柄とともに上昇し、その銘柄の頭打ちとともに最初の天井をつけます(いわゆる「一番天井」)。その後、調整局面を迎え、再び持ち直す動きが見られますが、このタイミングで買われるのが出遅れ銘柄です。しかし、これらの銘柄は人気が乏しく、上昇の勢いが弱いため、日経平均が一番天井を超えられず、「二番天井」を形成してから下落に向かうケースが多く見られます。

■出遅れ銘柄のリスク

出遅れ銘柄は、相場の最終局面で買われることが多く、「底値100日、天井3日」というように、短期間で終わる相場になりがちです。特に、投資家が失敗しやすいのは、割安だからと過大な期待を持ち、売るタイミングを逃してしまうことです。

相場の世界には「大器晩成」はなく、常に良い銘柄から買われていきます。出遅れ株に過度な期待を寄せず、適切なタイミングで利益確定を心がけることが、成功へのカギとなるでしょう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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