メルカリ、AI監視強化と鑑定センター設立で偽ブランド品撲滅へ「安心安全への取り組み方針」を発表

■詐欺被害額3075億円の社会情勢受け、AI技術活用と専門鑑定で不正対策を抜本強化

 フリマアプリ大手のメルカリ<4385>(東証プライム)は5月21日、安心安全なマーケットプレイス実現に向けた新方針を発表した。月間2300万人が利用する同アプリにおいて、不正利用者の「徹底的な排除」とお客さまの「徹底的な救済」を目指す2つの約束と、これを実現する3つの具体的取り組みを公開した。警察庁統計によると、2024年の詐欺被害額は約3075億円に達し、認知件数は2020年の30468件から約2倍の57324件まで増加している。こうした社会情勢を受け、メルカリはこれまでの未然防止策に加え、積極的な不正利用者排除と被害者救済に踏み切る。同社は2024年11月にサポート体制強化と補償方針見直しを発表していたが、今回の新方針はさらに踏み込んだ内容となっている。

 不正利用者の「徹底的な排除」では、AI技術を活用した監視強化と新設の「メルカリ鑑定センター」が柱となる。AIによる不正監視では、多様化・巧妙化する不正手口に対応するため、疑わしい行為を学習させてリスクをスコア化し、不正利用者を特定する仕組みを構築する。特定された不正利用者には、アカウント利用制限、刑事事件化、民事訴訟、損害賠償請求など強力な対応を実施する。2025年9月稼働予定の「メルカリ鑑定センター」は、偽ブランド品撲滅を目的とした専門機関で、鑑定可能な対象商品を大幅に拡大し、鑑定不備発生時の商品買取や対象商品の鑑定義務化も順次検討する。これにより、メルカリ内での偽ブランド品流通を根絶する狙いである。

 顧客への「徹底的な救済」については、2025年7月開始予定の「全額補償サポートプログラム」が中核となる。正しく利用している顧客がトラブルに巻き込まれた場合、購入代金や販売利益の全額を補償することを明確化した。補償を受けるためのガイドラインを公開し、トラブル発生から補償対応まで迅速に行うことで、顧客の不安を早期に解消する体制を整える。同社は今後、各種取り組みの効果を定量的に可視化した「透明性レポート」を2025年8月から定期公開し、外部機関との連携も強化する方針である。「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」というグループミッションのもと、正しく利用する顧客が不利益を被らない環境構築を通じて、安心安全な取引基盤の確立を目指していくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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