
■健康管理クラウドやdポイント基盤を活用した参加者募集システム
NTT(日本電信電話)<9432>(東証プライム)グループは5月30日、新薬承認の遅れが課題となるドラッグラグ・ロス問題の解決に向け、治験・臨床試験のデジタル化を推進する新たなグループ連携体制を構築したと発表。参加者募集からデータ管理までを一貫して支援するサービスを提供し、約1億人のdポイントクラブ会員基盤や健康管理クラウド「Health Data Bank®」などの既存リソースを活用する。これにより治験現場の効率化と参加者不足の解消を図り、2030年度までに100億円規模の事業成長を目指す。
現在の取り組みとして、スマートフォンを使ったオンライン同意説明や電子署名サービス、自宅での診療を可能にする遠隔医療システムなどを展開中だ。特に注目されるのがリアルワールドデータ(RWD)の活用で、電子カルテや健診データから適格患者を迅速にスクリーニングできる。これにより従来の治験期間を大幅に短縮し、医療機関と製薬企業間のデータ連携を円滑化する。
今後の展開では、クラウド型治験情報プラットフォームの構築や分散型臨床試験(DCT)の推進に注力する。患者が自宅近くの医療機関で参加できる環境を整備し、国際共同治験への参加率向上を図る。NTTは通信事業で培ったセキュリティ技術を駆使し、医療データの安全な流通基盤を整えることで、日本の創薬競争力強化に貢献したい考えだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)