三菱造船と商船三井、世界初のCO2・メタノール兼用船の基本設計に承認を取得

■液化CO2と合成メタノールを一隻で運ぶ新構想

 三菱重工業<7011>(東証プライム)グループの三菱造船と商船三井<9104>(東証プライム)は6月30日、共同開発中の液化CO2・メタノール兼用輸送船に関し、一般財団法人日本海事協会から世界で初めて基本設計承認(AiP)を取得したと発表した。液化CO2と合成メタノールを片道ずつ運ぶ構想で、空荷を回避し輸送効率を高める狙いがある。CCUS技術を支える物流手段として、脱炭素社会の構築に資する新たな選択肢となる。

 今回承認を得た設計は、低圧仕様の液化CO2輸送船を基にしたもので、往路にCO2、復路に合成メタノールを運ぶ運用が想定されている。従来は両物質に専用船が必要で、復路が空荷となる非効率が課題であった。両社は今回の知見を基に製品化を進め、関連企業との連携により、CO2資源循環の実現に貢献する構えを示した。

 三菱造船はエナジートランジション対応の海事エンジニアリング強化を進めており、商船三井もHIF Globalへの出資を通じて合成燃料のサプライチェーン構築を推進している。今回の兼用船は、その経済性と実用性の面で両社の脱炭素戦略に合致しており、2050年のネットゼロ達成に向けた重要な布石となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■金融・医療・公共分野に特化した高精度処理、低コストで安全運用可能  NTT<9432>(東証プラ…
  2. ■ジャイアンツ球場隣接の221邸、シニアの健康・交流を支える新拠点に  フージャースホールディング…
  3. ■IT・スタートアップ中心に若手CEO台頭、経営のスピード化が進展  帝国データバンクは10月14…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る