
■管理職・役員の男女比改善続くも、依然として半数以上が男性偏重
帝国データバンクは8月22日、全国2万6196社を対象に実施した「女性登用に対する企業の意識調査(2025年)」の結果を発表した。調査は有効回答1万626社(回答率40.6%)から得られ、女性管理職割合の平均は11.1%と過去最高を更新したものの、前年比0.2ポイントの上昇にとどまり伸びは鈍化した。政府目標「30%」を達成する企業の割合は11.9%と過去最高だったが、依然として管理職が全員男性の企業は42.3%存在する。女性役員割合の平均も13.8%と最高値を記録したが、役員が全員男性の企業は52.1%を占めた。
業種別では「小売」が20.1%でトップとなり、「不動産」「サービス」「金融」が続いた。一方、製造業や建設業は依然低水準にとどまった。規模別では小規模企業の方が女性管理職比率が高く、大企業は8.3%と最も低かった。今後の見通しについては、女性管理職割合が「増加する」と答えた企業は31.8%で、大規模企業ほど高い傾向が示された。女性役員についても上場企業の32.7%が「増加する」と回答しており、非上場企業の12.6%を大きく上回った。政府が掲げる東証プライム上場企業の女性役員割合目標(2025年19%、2030年30%以上)に向け、進展が期待される。
企業が実施している女性活躍推進策では、「成果に基づく公平な評価」が61.9%で最多だった。次いで「性別に関わらず配置・配属」(51.5%)が挙がり、男女平等に関する施策が中心を占めた。また、政府が推進する「男性育休」は19.8%と前年から最大の伸びを示したが、大企業と中小企業の格差は顕著であった。中小企業からは、人員不足で代替要員の確保や教育が困難との声も寄せられ、人的余裕のなさが課題として浮き彫りになった。
男性育休取得率の平均は20.0%と前回調査比8.6ポイント上昇し、従業員300人超の企業で特に高かった。新たに取得率公表が義務化された「301~1000人」の企業では32.6%と最も高く、1000人超企業も31.7%と続いた。一方で5人以下の小規模企業は10%台にとどまった。人口減少に伴う労働力不足が進行する中、女性の登用と男性の育児参加を同時に進めることが、今後の企業経営に不可欠となる。政府は2026年4月から女性活躍推進法改正により、従業員101人以上の企業に女性管理職比率などの公表を義務化する予定であり、企業は柔軟な働き方や家庭支援策を拡充し、女性が昇進意欲を持てる環境づくりを加速させることが求められている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)