日立、長野県と裾花ダムで発電量14%増の運用方法を導出、流入予測不要の新手法

■「ダム運用最適化ソリューション」理論検証で有効性確認

 日立製作所<6501>(東証プライム)は9月17日、長野県と共同で裾花ダム・裾花発電所を対象に行った理論検証の結果、追加投資を伴わずに年間発電量を平均14%向上できる運用方法を導出したと発表した。同社の「ダム運用最適化ソリューション」を用い、2000年から2024年までの25年分のデータを高速に解析し、理論上の最大発電量は実績平均より19%増であることも明らかにした。今回の成果は再生可能エネルギー拡大に資する技術として注目される。

 同ソリューションは、流入量予測を必要とせず、現在の流入量と水位に基づき運用方法を決定できる点が特徴である。従来困難とされた流入量の予測を用いない「三水位モデル」を採用することで、実績比14%増の年間発電量を実現できる可能性が確認された。ダム操作規則や発電機の特性を考慮した検証により、理論値に近い発電量を達成できることが示された。こうした手法は迅速な導入が可能であり、他のダム運用にも応用が期待される。

 長野県は2050年ゼロカーボン戦略に沿って再生可能エネルギーの供給拡大を推進しており、今回の検証結果を今後の実導入に向けた協議に活用する方針である。日立も国内の自治体や電力会社に向けて同ソリューションの展開を進め、カーボンニュートラル社会実現や業務効率化に貢献する考えだ。さらに「Lumada3.0」への進化を通じ、AIや防災技術を組み合わせた高度な運用提案へ拡張することで、気候変動への適応と緩和の両面で社会的価値を創出することを目指している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■全従業員にAI活用徹底、業務改革を本格化  LINEヤフー<4689>(東証プライム)は7月14…
  2. ■50年以上親しまれたかぜ薬が国内市場から姿を消す?  大正製薬は7月14日、塗るかぜ薬「ヴイック…
  3. ■鈴鹿8耐で新型CBコンセプト登場  ホンダ<7267>(東証プライム)は7月11日、大型ロードス…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  2. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  3. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  4. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…
  5. ■金先物相場を背景に産金株が収益拡大の余地を示す  東京市場では金価格の上昇を背景に産金株が年初来…
  6. ■大統領の交渉術が金融市場を左右し投資家心理に波及  米国のトランプ大統領は、ギリシャ神話に登場す…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る