
■外側垂直ターゲット累計38基を担当、全58基体制の要を担う
三菱重工業<7011>(東証プライム)は9月18日、南フランスで建設中の国際熱核融合実験炉イーター(ITER)向けに、ダイバータの重要部品「外側垂直ターゲット」20基を新たに受注したと発表した。今回の契約により、同社が製作を担う外側垂直ターゲットは通算38基となり、全58基のうち既に過半を占めることとなった。これまでの18基に続く受注であり、同社の高難度製造技術が評価された結果とされる。今後は残る20基の受注にも対応しつつ、核融合開発の推進に寄与する方針である。
ダイバータは核融合炉の中核機器であり、プラズマからの燃え残り燃料や不純物を排出して反応の安定化を担う。特に外側垂直ターゲットは最大20MW/m²という極めて高い熱負荷に晒される過酷な条件下で使用され、その構造は複雑かつ高度な精密加工を要する。三菱重工は2024年にプロトタイプを完成させ、現在進めている実機製作の経験を踏まえ、量産化技術を確立してきた。こうした実績が今回の連続受注につながった。
同社は既にITER向け主要機器であるトロイダル磁場コイル19基中5基の製作を受注し、2023年までに全基を出荷済みである。今後もダイバータや水平ランチャーの製作に取り組み、さらに次段階となる核融合原型炉の設計・開発支援にも参画する計画だ。核融合エネルギーはCO2を排出せず、資源的にも持続可能とされることから、エネルギー・環境課題の解決に資する技術として期待されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)