クリングルファーマ、HGF徐放性創傷治療剤の共同研究を京都大学と開始

■難治性創傷治療へ新戦略、HGF活用で早期実用化を目指す

 クリングルファーマ<4884>(東証グロース)は10月17日11時30分、肝細胞増殖因子(HGF)を活用した徐放性創傷治療剤の新たな開発に向け、国立大学法人京都大学と共同研究契約を締結したと発表した。高齢化や糖尿病患者の増加に伴う難治性潰瘍、褥瘡などの慢性創傷が社会問題化するなか、同社はHGFの血管新生作用と抗線維化作用に着目し、京都大学大学院医学研究科の森本尚樹教授らと協働して持続的薬効を持つ治療剤の開発を進める。国内の創傷治療市場は1100〜1600億円規模と推定され、需要拡大が見込まれている。

 既存の創傷治療では人工皮膚や培養皮膚が用いられているが、感染リスクや供給の安定性に課題がある。これに対しHGFを徐放するコラーゲン・ゼラチンスポンジによる治療効果が既に報告されており、同社はこれを基盤にした新製剤で高い治癒促進効果と瘢痕抑制を両立させる構想だ。徐放性製剤は薬効を長時間維持し、副作用を抑え、患者負担を軽減できる特長を持つ。今回の共同研究に伴う業績への影響は軽微としている。

 HGFは細胞増殖や血管新生を促す生理活性タンパク質で、神経保護や抗線維化作用も確認されている。慶應義塾大学では脊髄損傷治療への有効性、東北大学ではALS治療効果が報告され、京都府立医科大学では声帯瘢痕への効果も示された。クリングルファーマはこれまでHGFを用いた希少疾病治療薬の開発を進めており、脊髄損傷急性期では第Ⅲ相試験を終了、声帯瘢痕向けも第Ⅲ相試験中である。今回の京都大学との連携を通じ、難治性創傷分野におけるHGF医薬品の社会実装をさらに加速させる構えだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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