【どう見るこの相場】10~12月GDPと相場の行方

■GDP不振は短期織込みも中期では上値圧迫、金融政策次の一手次第

 15日(月)に日本の10~12月GDPが発表された。日経平均は急伸したが、果たして、GDP不振数値が悪材料出尽くしとなったのだろうか。

<Q>昨年10~12月の日本のGDPはおもわしくなかったようだが。

<A>実質で年率マイナス1.4%と、昨年7~9月のプラス2.3%から反落した。マイナンバー関連の投資は増えたが、住宅、個人消費、公共投資などが芳しくなかった。

<Q>しかし、GDPが発表となった15日(月)の日経平均は急伸した。GDPの不振は織込んだとみていいのか。

<A>完全に織込んだとは言えない。15日の急伸は、前週まで大きく下げていたことでリバウンドのタイミングにあったといえる。ただ、10~12月のGDP不振はあるていど予想されていたことで、予想通りのマイナスだったことから短期的には織込みの展開といえる。しかし、中期的には楽観できない。

<Q>なぜか。

<A>10~12月のGDPは内需停滞に対し外需が堅調だったが、今後は今の世界経済をみれば外需にも下押し懸念がある。しかも、日本の企業業績は、とくに、これまで企業業績全体を牽引してきたトヨタ自動車など主力に伸び悩みがみられることから先行きに対する懸念が強まっている。2016年3月期は増益が見込まれるが、来期(2017年3月期)は減益の予想も出始めている。

<Q>GDP発表で政策はどう動くか。

<A>今回のマイナス金利だけでは限界のあることは多くの投資家が承知していることだろう。GDPは今年1~3月も際立って上向くという雰囲気ではないから景気に対する下押し懸念は強まるだろう。日経平均もリバウンド一巡後は、また弱含む展開だろうから、日銀は3月、4月には量的緩和に動くだろう。

<Q>量的緩和の効果は。

<A>過去1,2回の緩和に比べてどのていど上値を追う効果があるかは分からない。あまり、大きくはないようにも思われるが、ただ、日経平均の下支えとなることは間違いなく、うまくリズムに乗れば6月頃に2万円挑戦は考えられるだろう。今回の下げでファンドマネージャーの入れ替えもあったようだから新しい運用者による新しい相場への取組みが相場の活力になりそうだ。

<Q>銘柄は何がよいか。

<A>GDPが低下傾向の中では、「何んでも買い」から、「選別買い」がいっそう強まるだろう。方向としては、2016年3月期だけでなく2017年3月期の業績好調銘柄には注目人気がいっそう高まるだろう。また、一方で業績には関係ない、「夢追い銘柄」も注目される可能性はあるだろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る