【編集長の視点】PCIホールディングスは分割権利落ち後安値から続急伸、増益転換業績の再評価にIoT関連株人気がオン

編集長の視点

 PCIホールディングス<3918>(東マ)は、100円高の2715円と続急伸して始まり、前週末8日取引時間中につけた株式分割の権利落ち後安値2427円からの底上げを鮮明化している。今9月期純利益が、増益転換と予想されていることを見直して下げ過ぎ訂正買いが増勢となっており、V-Low放送を開始したことなどから、IoT(モノのインターネット)関連株人気も相乗している。昨年8月の新規株式公開(IPO)時には再三再四のストップ高を交えて上場来高値1万2330円まで買い上げられ公開価格2350円の4.8倍に大化けした急伸特性の再現期待も高めている。

■今年3月からのVーLowマルチメディア放送開始で車車間通信を高度化

 同社の今9月期業績は、前期業績が、IPO時予想を上ぶれて着地したあとを受けて、売り上げ84億5000万円(前期比7.6%増)、経常利益5億8000万円(同6.5%増)と続伸が予想され、純利益は、税金費用が平準化して3億6000万円(同8.8%増)と増益転換が見込まれている。企業業績の回復を背景に企業のIT(情報技術)投資が回復する環境下、テクニカルソリューション事業では、組込みソフトウェアの開発でカーナビゲーションやデジタルカメラ向けが好調に推移し、IoT/IoEソリューション事業では、自動車産業や発電事業者向けの受注が増加し、新規顧客からの受注獲得が続いていることなどが寄与する。

 このうちIoT/IoE事業では、子会社のPCIソリューションズが、地上アナグロテレビ終了後に空いたVHF帯の周波数跡地を利用するVーLowマルチメディア放送のサービスを今年3月から福岡、東京、大阪で開始するとともに、自動車向け高度情報提供サービス展開するアマネク・テレマティクスデザイン(東京都千代田区)へ追加出資して車車間通信を高度化した。また自社開発したコミュニケーションツール「Aーya」を同放送に採用し、スマートフォンをヒト側のインターフェイスと位置付けて最適なIoT環境を実現する。

■IPO時の大化け実績を連想して落ち後高値奪回から権利埋めを視野

 株価は、「Aーya」採用発表でストップ高を交えて7490円の戻り高値をつけ、6530円で株式分割(1対2)の権利をスンナリ落とし、落ち後高値3400円からは、日経平均株価が、新年度相場入り後7日続落したことにツレ安して落ち後安値2427円まで1000円幅超の急落となった。このなかで東証マザーズ指数が、昨年来高値を更新するなど逆行高を鮮明化しており、同社株もIoT関連のテーマ株人気の再燃が有力となる。IPO時の大化け実績も連想して、落ち後高値奪回から権利落ち埋めに向け再騰に弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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