【編集長の視点】トーセは小反落も期末接近で膨らむ配当権利取りを手掛かりに売られ過ぎ訂正余地

 トーセ<4728>(東1)は、前日15日に2円安の1001円と小反落して引けた。トルコショックに中国の景気減速懸念が重なり、前日の日経平均株価が急反落するなか、同社株もリスク回避目的の売り物に押された。ただ、1000円大台を前に下げ渋る動きもみせた。8月期の期末接近とともに、配当権利取りの買い物が増勢となっており、東証第1部の2月期・8月期決算会社の高配当利回りランキングで、トップ30位にランクインしていることが意識されている。また、今2018年8月期第3四半期(2017年9月~2018年5月期、3Q)の営業利益が、前年同期比2.1倍とV字回復し、テクニカル的にも今年1月の年初来高値2195円から絶対高値期日の6カ月を経過したことも見直され、売られ過ぎ訂正期待も高めている。

■2月・8月決算会社の高配当利回りランキングでトップ30にランクイン

 同社の今8月期の配当は、前期と横並びの年間25円が予定されている。この配当利回りは、2.49%と東証第1部全銘柄平均の1.75%を上回るとともに、2月期・8月期決算会社の配当利回りランキングのトップ30位にランクインしている。配当権利付きの最終売買日は、8月28日に迫っており、権利取りの買い物が下値に続いている。

 一方、今年7月5日に発表された今期3Q業績は、前年同期比4.3%増収、2.11倍営業増益、25.7%経常減益、4.22倍純益増益で着地した。経常利益は、為替変動により保有・運用する外貨建て資産の為替差損が想定を上回って減益転換したが、売り上げは、複数のスマートフォン・ゲームの運営サイトを安定的に遂行したことで増収転換し、営業利益は、東南アジア向けコンテンツ配信事業の先行費用が減少して大幅増益転換、純利益は、投資有価証券売却益8500万円を計上しV字回復した。

 同社の今8月業績は、今年4月5日に第2四半期(2017年9月~2018年2月期、2Q)累計業績を上方修正し、逆に8月期通期業績を下方修正する好・不調が交錯する業績修正となった。今8月期通期業績は、この4月の下方修正値を据え置き売り上げ46億2500万円(前期比1.7%減)、営業利益1億6400万円(同46.7%減)、経常利益2億300万円(同50.0%減)、純利益1億3400万円(同35.9%減)と予想している。引き合いが続いているスマホゲームで開発期間の長期化や顧客の要望により開発中止や来期に開発完了がずれ込む案件が発生しているためだが、懸念されている人材不足も来期には解消するとみられており、今期配当は、前期横並びの年間25円を予定している。

■25日線水準を固め年初来高値からの調整幅の3分1戻しを目指す

 株価は、今期通期業績の下方修正が響いてストップ安して1100円台を固める動きとなり、米中の貿易戦争エスカレートによる全般相場急落にツレ安して年初来安値957円まで売られた。この安値場面で今期3Q決算発表を受けて下げ過ぎとして1157円までリバウンドし、25日移動平均線水準の1000円台大台固めを続けている。年初来高値2195円からの下落率は、56%と値幅調整一巡を示唆しており、期末の配当権利取りから一段の底上げ展開が想定される。年初来高値から同安値への調整幅の3分の1戻し水準の1300円台奪回が当面の戻りのメドとなろう。(本紙編集長・浅妻昭治) 

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