パイプドHDのグループ企業、VOTE FORはNEC、UCSと協力し、マイナンバーカードによる顔認証とブロックチェーン技術を用いたネット投票システムを開発

◇つくば市が開催した「令和元年度つくば Society 5.0 社会実装トライアル支援事業」を選出するコンテストの最終審査などで採用

 パイプドHD<3919>(東1)のグループ企業、VOTE FORは、NEC、ユニバーサルコムピューターシステム(以下「UCS」)と協力し、マイナンバーカードによる顔認証とブロックチェーン技術を用いたネット投票システムを開発した。

 当システムは、2019年8月28日につくば市が開催した「令和元年度つくば Society 5.0 社会実装トライアル支援事業」を選出するコンテストの最終審査で採用され、また、8月23日より受け付けた期日前投票と合わせて6日間に渡り使用された。なお、期日前投票初日となる8月23日に開催した記者会見では、つくば市役所にて本システムの概要説明並びに五十嵐市長によるマイナンバーカードと顔認証を用いた投票デモを実施した。

 平成30年度の実証では、投票時の本人認証にマイナンバーカードの英数字6桁から16桁の署名用電子証明書のパスワードを利用した。しかし、同パスワードの認識率の低さと利用機会の少なさ、入力ハードルの高さにより、投票前の離脱や投票者が限定されるという課題が浮き彫りとなった。

 そこで、本年度は投票者の利便性向上を図るため、数字4桁の利用者証明用パスワードを利用することとし、マイナンバーカードに内蔵しているICチップ内の本人画像情報と、同カードを持参した本人を撮影した画像を照合する認証技術を用いたことで、利用者負担の少ない厳正な個人認証が可能であることを実証した。

 また、前回は、パソコンやタブレットなどの投票端末に一定の環境設定が必要であったことから、投票受付は市庁舎に設置された投票所のみとなり、投票の場所と時間が限定された。

 ところが、本年度は時間と場所に依存しない投票を可能にするよう、ICカードリーダーに接続可能なWindows端末より、インターネットに接続できる場所ならどこからでも投票を可能にする仕様とした。その結果、自宅はもちろん、兵庫・大阪といった遠隔地からの投票や、休日・夜間での投票実施が確認でき、時間・場所の制限を受けない投票を実施することが可能であることを実証した。

 更に、前回の、投票画面で投票ボタンを押した後に、暗号化した投票データの処理に3秒から5秒程度要したが、本年度は投票処理速度を向上するよう、ブロックチェーンのプラットフォームをイーサリアムからハイパーレッジャーファブリックへ変更した結果、1秒から2秒程度での処理完了となり、データの非改ざん性と処理速度向上を実証した。

 前回は、自身が「誰に投票したことになっているのか」を確認することができなかったことについては、今回、市庁舎等設置の投票所を除き、上書き投票できる仕様にしたところ、最多で15回の上書き投票があったことを確認した。ブロックチェーン技術により投票の秘密を担保しつつ、投票期間中、本人だけが「自分がどの候補に投票しているか」をいつでも確認できることを実証した。

 最終審査では、一次審査を通過した11件の提案のうち、5件の優れた提案が採択された。また、インターネットによる投票数が最も多かった提案に対して「ネット投票特別賞」が授与された。

 今回のネット投票システムでは、「マイナンバーカード内の顔写真を用いた個人認証」、「時間と場所の制限を受けない投票」、「ブロックチェーン技術の処理速度の向上」、「ブロックチェーン技術による投票の秘密とデータの非改ざん性の担保」、「上書き投票・自身の投票先確認の実現」を実証することに成功した。次のステップとして、自身のスマートフォンから安全かつ簡単に投票できる仕組みを提供するなどさらなる実証を重ね、住民投票や国政選挙、地方選挙でのネット投票の実現を目指す。

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