【注目銘柄】日機装は続落も減益業績を織り込み下値に割安コロナ関連株が交錯

注目銘柄

日機装<6376>(東1)は、前日30日に17円安の931円と3日続落して引けた。日経平均株価が、57円安と5営業日続落したことから、今年3月につけた年初来安値666円から底上げしている同社株にも目先の利益を確定する売り物が増勢となった。今2020年12月期業績が、2ケタ減益と悪化することも響いているが、ただ同社株は、深紫外線LEDを搭載した空間除菌消臭装置「エアロピュア」を展開する新型コロナウイルス感染症の防疫関連株の一角に位置しており、下値に割安関連株買いも交錯した。テクニカル的にも、「エアロピュア」評価で窓を開けてストップ高した窓をほぼ埋めたとして調整一巡感を強め、買い手掛かりとなっている。

■Amazon専用サイトでも販売開始の「エアロピュア」は2~3カ月待ち

 「エアロピュア」は、光触媒による除菌・消臭効果に加え、補足した菌やウイルスに深紫外線LEDの光を照射してDNAやRNAを変性させ不活性化させる空間除菌装置である。今年5月27日には、宮崎大学医学部が実施した新型コロナウイルスの不活性試験で有効性が確認されたと発表した。これに先立ち同社は、東京都へ「エアロピュア」50台とオゾン水手洗い装置「ハンドレックス」20台を寄贈し、6月17日からは法人向け購買専用サイト「Amazon」の「新型コロナウイス感染症対策 特設サイト」での販売を開始した。なお「エアロピュア」の納期は、2~3カ月待ちとなっている。またCRRT(急性血液浄化療法)事業も、新型コロナウイルス感染症による急性腎障害対応や感染予防のニーズが増加している。

 一方、今2020年12月期業績は、売り上げ1740億円(前期比5.0%増)、営業利益110億円(同11.8%減)、経常利益100億円(同12.1%減)、純利益60億円(同11.9%減)と減益転換を見込んでいる。新型コロナウイルス感染症の影響で顧客の石油関連業界では原油・ガス採掘の上流部門で受注減少・繰り延べ、航空宇宙業界では航空機需要の大幅減少などがあるためで、5月15日に開示した今期第1四半期(2020年1月~3月期、1Q)業績は大幅減益で着地した。8月7日には今期第2四半期(2020年1月~6月期、2Q)決算予定で、業績実態を再確認することになる。ただ同社は2025年12月期を最終年度とする中期経営計画を推進し、最終年度に売り上げ2500億円、営業利益200億円を目標にしており、「アフター・コロナ」の経済活動正常化後に成長路線への復帰も有力となる。

■今年5月のストップ高で開けた窓を埋め低PER・PBR修正に再発進

 株価は、今年1月の年初来高値1479円から世界同時株安の波及で同安値666円まで売られ、下げ過ぎとして底上げ、今期業績の減益転換予想や今期1Qの決算悪のたびに下ぶれたが、「エアロピュア」の新型コロナウイルスの有効性確認では窓を開けてストップ高、足元ではこの窓をほぼ埋め、25日移動平均線水準の三角保ち合いからの上放れを窺っている。PERは11倍台、PBRは0.81倍と割安である。ストップ高でつけた1054円抜けで弾みをつけ年初来高値にキャッチアップしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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