川崎汽船など世界初のCCUSを目的とした液化CO2輸送の実証試験船建造決定

■液化CO2輸送の実証船、裸傭船契約・タンクシステム購入契約の締結

 一般財団法人エンジニアリング協会と山友汽船は、液化CO2輸送の実証試験船の裸傭船契約、舶用タンクシステム購入契約を締結した。これを受け、エンジニアリング協会の研究開発に基づく仕様での舶用タンクシステムの製造と、それを搭載した液化CO2輸送実証試験船の建造が、山友汽船から三菱重工グループの三菱造船に発注された。

 同実証試験船の建造場所は三菱重工の下関造船所江浦工場となる予定。エンジニアリング協会は同船竣工時に山友汽船から液化CO2輸送の実証船を借り受け、船舶による液化CO2輸送技術を確立するための研究開発と船舶輸送の実証試験を行う。

 同船は世界で初めての見込みであるCCUS事業向け液化CO2輸送の実証試験船であり、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2021年度から実施している「CCUS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCUS大規模実証試験/CO2輸送に関する実証試験/CO2船舶輸送に関する技術開発および実証試験」においてエンジニアリング協会が運用し、2023年度後半から液化CO2輸送に従事する予定。

 エンジニアリング協会、川崎汽船<9107>(東1)、日本ガスライン、国立大学法人お茶の水女子大学の4者は2023年後半の同船竣工に向け、液化CO2船舶輸送の研究開発をさらに加速し、安全かつ低コストな液化CO2の船舶輸送技術の確立と、CCUS技術の社会実装に貢献する。同実証事業では、同船を用いてさまざまな積載状態での運用や多様な気象・海象での運航データを収集する計画。

 エンジニアリング協会は、船舶による液化CO2輸送技術や舶用タンクシステムの研究開発・実証試験の企画、評価、解析及び船舶関連の総括を担う。

 川崎汽船は、長年にわたる液化ガス輸送船の保有・運航実績や、液化水素運搬船事業の経験を活かし、輸送・荷役時における安全性評価と技術的なガイドラインの策定に取り組んでいく。

 日本ガスラインは、50年以上にわたる内航LPG船オペレーターの経験を基に、同実証船試験船の船舶管理・運航を担当する。

 お茶の水女子大学は、二酸化炭素の温度、圧力、流動等による状態(相変化)制御に関する基礎基盤研究を行い、安全な輸送検討に必要な情報を提供する。

 エンジニアリング協会、川崎汽船、日本ガスライン、お茶の水女子大学の4者は同実証事業を通じてカーボンニュートラル社会の実現に貢献していくとしている。

【液化CO2輸送船の主要目】
・タンク容積=1450m2
・船長=72.0m
・船幅=12.5m
・喫水=4.55m
(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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