TACは22年3月期3Q累計大幅営業増益と順調

(決算速報)
TAC<4319>(東1、新市場区分スタンダード)は2月7日の取引時間終了後に22年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。法人研修事業においてWEB会議システムを利用したオンライン研修需要が増加し、営業費用抑制なども寄与して大幅営業増益と順調だった。そして通期の大幅営業増益予想を据え置いた。季節要因で下期は赤字となる傾向があるが、通期ベースでも収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響で水準を切り下げる展開だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■22年3月期3Q累計大幅営業増益と順調、通期も大幅営業増益予想

22年3月期第3四半期累計連結業績(収益認識会計基準適用)は、売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が前年同期比6.2%増の155億99百万円、営業利益が22.9%増の6億66百万円、経常利益が1.2%増の7億09百万円、親会社株主帰属四半期純利益が4.5%減の4億56百万円だった。法人研修事業においてWEB会議システムを利用したオンライン研修需要が増加し、営業費用抑制なども寄与して大幅営業増益と順調だった。

なお収益認識会計基準を適用し、出版事業における返品の可能性のある取引について計上方法を変更している。これによって、従来基準に比べて売上高が1億44百万円増加、売上原価が56百万円増加したが、従来から売上総利益相当額について返品調整引当金を計上していたため、差引売上総利益以下の各段階利益に与える影響はないとしている。

個人教育事業は売上高が2.1%減の84億50百万円、営業利益が2億43百万円の赤字(前年同期は2億73百万円の赤字)だった。コロナ禍の影響で講座申し込みがやや低調だったが、講師料、教材制作のための外注費、賃借料などの営業費用削減で赤字がやや縮小した。法人研修事業は売上高が8.5%増の33億92百万円、営業利益が5.7%増の8億46百万円だった。WEB会議システムを利用したオンライン研修需要が増加した。

受講者数は個人が1.0%増の9万8640人、法人が0.9%増の7万3312人、合計が1.0%増の17万1952人だった。講座別では税理士講座が6.1%増、中小企業診断士講座が12.8%増、不動産鑑定士講座が23.3%増、証券アナリスト講座が14.8%増、情報処理講座が15.2%増と好調だった。

出版事業(TAC出版、W出版)は売上高が23.4%増の32億96百万円、営業利益が8.6%減の8億26百万円だった。売上増に伴う外注費や業務委託費などの増加、販促活動に伴う費用の増加などで減益だが、売上面は自宅で過ごす時間の増加なども背景として大幅増収だった。人材事業は売上高が7.9%増の4億34百万円、営業利益が48.7%増の90百万円だった。医療系人材事業が取引先拡大などで順調だった。

四半期別に見ると、第1四半期は売上高が57億36百万円で営業利益が6億22百万円、第2四半期は売上高が54億19百万円で営業利益が4億88百万円、第3四半期は売上高が44億43百万円で営業利益が4億45百万円の赤字だった。資格講座申込時期の関係で季節要因で下期は赤字となる季節要因がある。

通期予想は据え置いて、売上高が21年3月期比3.8%増の205億円、営業利益が48.3%増の6億円、経常利益が10.6%減の5億78百万円、親会社株主帰属当期純利益が6.3%減の3億80百万円としている。配当予想は1円増配の6円(第2四半期末3円、期末3円)である。

経常利益と親会社株主帰属当期純利益は前期計上の助成金収入や受取補償金が剥落して減益予想だが、新型コロナウイルス感染状況に応じた臨機応変な対応、新たな売上獲得や新たな事業領域への挑戦、賃借料の適切なコントロールなどを推進して大幅営業増益予想としている。季節要因で下期は赤字となる傾向があるが、通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

株価は地合い悪化の影響で水準を切り下げる展開だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。2月7日の終値は227円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS20円54銭で算出)は約11倍、時価総額は約42億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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