【注目銘柄】日本電気硝子は市場予想を上回る続伸業績と連続増配を見直す動き

注目銘柄

■直近高値2993円を意識する動き強める

 日本電気硝子<5214>(東1)は、今年1月につけた直近高値2993円を意識する動きを強めている。同社株は、今年2月2日に12月期決算を発表し、今2022年12月期業績を続伸と予想し市場コンセンサスを上回っており、配当も連続増配を予定していることを見直してバリュー株買いが再燃している。決算と同時に発表の新中期経営計画では、世界で初めて開発に成功した全固体ナトリウムイオン(Na)二次電池の製品化を新規事業として推進する内容を含んでおり、潜在材料視されている。

■FPD用は次世代サイズ出荷が本格化し医薬用ガラスではワクチン容器もオン

 同社の今12月期業績は、売り上げ3300億円(前期比13.0%増)、営業利益370億円(同12.8%増)、経常利益370億円(同17.7%減)、純利益300億円(同7.5%増)と予想され、経常利益は、前期に海外子会社の債権債務の評価替えに伴う為替差益を計上した反動で減益となる以外は続伸となる。薄型パネルディスプレイ(FPD)用ガラスでは、第10.5世代サイズの出荷が本格化し、ガラスファイバーも、自動車部品向けの高機能樹脂用途を中心に需要が旺盛で、医薬用管ガラスも、ワクチン容器向けの需要が上乗せとなって出荷が堅調に推移することなどが要因となる。利益は、市場コンセンサスを8億円~33億円上回る。配当は、年間120円(前期実績110円)と連続増配を予定している。

 一方、全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池は、昨年11月に結晶化ガラスの負極材を開発し、結晶化ガラス正極材、固定電解質と一体化して出力電圧3Vと現行のリチウムイオン二次電池に匹敵する実用性を実現することに世界で初めて成功したと発表した。資源量の豊富なナトリウムや鉄を材料に用い、コバルト、ニッケルなどの希少金属を必要とせず、安定的な物質である酸化物材料で構成されていることから発火や有毒ガスの発生もない。2026年12月期を最終年度とする新中期経営計画では、同二次電池の製品化を新規事業として推進する。なお中期計画の業績目標は、最終年度に売り上げ4000億円、営業利益450億円として、株主還元策も、株主資本配当率(DOE)で2%以上を継続する。

■PERは9倍、PBRは0.5倍、配当利回りは4.1%と上値余地示唆

 株価は、前期業績の合計3回の上方修正に自己株式取得が加わって2900円台に乗せ、全固体ナトリウムイオン二次電池開発とともに急伸し昨年来高値3185円まで買い進まれた。同高値後は、配当権利落ちや全般相場の波乱もあって2668円まで調整し、足元で2900円台固めを継続している。証券各社の目標株価引き上げが続くなど注目度もアップしており、PER9.0倍、PBR0.54倍、年間配当利回り4.13%の割安修正で直近高値2993円抜けから昨年来高値3185円奪回に拍車が掛かろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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