【どう見るこの相場】「師走グリコ相場」は究極の出遅れ株の黒字転換&黒字転換幅拡大銘柄に肩入れ投資

 FRB(米国連邦準備制度理事会)のパウエル議長発言は、「グリコ」である。アーモンドグリコのキャッチコピーの「1粒で2度おいしい」と同様に、「1粒で2度味が変わる」からである。最初は、利上げペース減速のハト派の味がして、次いで利上げ長期化のタカ派の味がしたからである。お蔭で同議長の11月30日の講演の直後にダウ工業株30種(NYダウ)は、737ドル高と大幅続伸したあと12月1日には194ドル安と反落し、週末も34ドル高と小反発にとどまった。

 もっとトバッチリを受けたのは日経平均株価で、12月1日に257円高と反発して2万8000円台を回復したものの、週末2日は4448円安とほぼ倍返しの急落に見舞われた。このイレギュラーな展開は、12月13日、14日開催のFOMC(公開市場委員会)後のパウエル議長の記者会見まで続きそうで、師走の「掉尾の一振」相場は、ハト派の甘味に口元が緩むのか、タカ派の苦みに顔をしかめるのか「グリコ」相場の気迷いが続くかもしれない。

 ハト派なら高PERのハイテク株、グロース株(成長株)、タカ派なら内需関連株、ディフェンシブ系のバリュー株(割安株)が中心銘柄とするのが市場コンセンサスで、株価指数からみると日経平均株主導型か、TOPIX(東証株価指数)主導型かとなる。前月11月相場は、中旬以降にTOPIXが2000ポイントを回復して年初来高値にあと18ポイントと迫り、日経平均株価の上昇率をオーバーパフォームした。NT倍率も低下し、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回り、シコリ玉も持て余していた個人投資家にとってはハッピーな底上げ相場となった。それがパウエル発言で巻き戻され、シナリオ練り直しとなったわけだ。

 何とも悩ましい「師走グリコ相場」だが、今週の当特集では、高値覚えとお叱りを受けるのを覚悟に、敢えてTOPIX主導相場に肩入れすることにした。なかでも注目したいのは、割安株のなかでも究極の出遅れ株ともいえる黒字転換銘柄、黒字転換幅拡大銘柄である。11月中旬までに一巡した決算発表では、業績の上方修正で2期ぶり、3期ぶり、4期ぶりなどに赤字から黒字転換し、あるいか黒字転換幅を拡大した銘柄が相次いだ。そのなかに年初来高値まで買い進まれた銘柄やなお値固め中の銘柄もあって千差万別だが、なお投資採算的に出遅れを示唆した銘柄も目立ったからだ。

 赤字業績・無配転落などで地獄をみた銘柄の水面上への生還である。東証グロース市場株も含め、師走の「グリコ相場」が「掉尾の一振相場」にトライするようならその活躍候補株の一角に浮上する可能性を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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