【マーケットセンサー】海洋脱炭素化に貢献する造船業界の動向、海の炭素貯蔵庫「ブルーカーボン」を活用する造船技術

■海洋脱炭素化とは・・

 海洋脱炭素化とは、海の生態系を利用して大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収・貯蔵することで、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を減らす取り組みのことである。海洋生物が吸収・貯蔵する炭素を「ブルーカーボン」と呼び、その有効な選択肢として国連や政府などが注目している。

 ブルーカーボンを吸収・貯蔵する機能を持つ海洋生態系には、海草や海藻などの藻場、マングローブ林、干潟などがある。これらは水深が浅く光合成が盛んな沿岸の浅瀬に分布し、海のゆりかごとも呼ばれる。日本は四方を海に囲まれた島国であり、ブルーカーボンの活用には非常に有利な状況にある。

■造船業界の関連技術

 造船業界では、ブルーカーボンの活用に関連する技術開発や受注が好調である。主力製品の新切断機(DBCファイバーレーザー)の受注が造船業界向けに好調な小池酸素工業<6137>(東証スタンダード)は、この背景には海洋の脱炭素化の環境対応にある。

 また、水素燃料エンジンの噴射装置などを開発した三菱重工業<7011>(東証プライム)、ジャパンエンジンコーポレーション<6016>(東証スタンダード)や、藻場再生技術を持つ鹿島建設<1812>(東証プライム)なども、海洋脱炭素化関連の需要拡大に期待されている。

■今後の展望

 海洋脱炭素化は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げた日本政府が推進する重要な取り組みである。しかし、現在はブルーカーボンによるCO2吸収量を取引可能なクレジットとして認める制度が整っていない。そのため、国土交通省はブルーカーボン・オフセット制度の導入を目指しており、今年は横浜港で制度試行を行った。

 地球温暖化防止だけでなく、新たな事業や地域活性化にも一役買う可能性がある。造船業界は、この可能性を見逃さず、技術開発や受注拡大に努めていく必要があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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