アステナホールディングスは23年11月期3Q累計大幅営業・経常増益、通期上振れの可能性

(決算速報)
 アステナホールディングス<8095>(東証プライム)は10月13日の取引時間終了後に23年11月期第3四半期累計連結業績を発表した。純利益は前期計上の固定資産売却益の剥落により減益だが、医薬品原料や機能性食品原料の好調などで全体として2桁増収、大幅営業・経常増益だった。通期は原材料価格などの不透明感を考慮して減益予想としているが。第1四半期がボトムとなったことに加えて、第3四半期累計の高進捗率なども勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益回復基調だろう。株価は地合い悪化の影響で9月の年初来高値圏から反落したが、モミ合いから上放れて基調転換した形だ。目先的な売りが一巡し、第3四半期累計業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年11月期3Q累計大幅営業・経常増益、通期上振れの可能性

 23年11月期第3四半期累計(22年12月~23年8月)の連結業績は、売上高が前年同期比10.1%増の406億74百万円、営業利益が60.8%増の6億85百万円、経常利益が52.9%増の7億90百万円、親会社株主帰属四半期純利益が65.4%減の2億09百万円だった。

 純利益は前期計上の固定資産売却益(6億60百万円)の剥落により減益だが、医薬品原料や機能性食品原料の好調などで全体として2桁増収、大幅営業・経常増益だった。なお営業外費用では持分法投資損失が37百万円減少、特別損失では投資有価証券評価損2億19百万円を計上した。

 ファインケミカル事業は、売上高(外部顧客への売上高)が6.8%増の118億47百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が62.6%減の63百万円だった。スペラネクサスにおける医薬品原料販売が新薬メーカー向け新規案件も寄与して好調だったが、医薬品CDMO分野の経営改善遅れが影響した。

 HBC・食品事業は、売上高が21.1%増の126億51百万円で、営業利益が1億91百万円(前年同期は91百万円の損失)だった。大幅増収効果で黒字転換した。化粧品通販部門が定期会員数減少で低調だったが、食品原料部門における機能性食品の需要増加や新規受注獲得、ファルマネット部門におけるインバウンド需要回復などが牽引した。

 医薬事業は、売上高が10.2%増の98億45百万円で、営業利益が25.6%増の4億88百万円だった。医療用医薬品部門では22年12月に新製品として販売開始した抗真菌薬であるリコナゾール軟膏・クリームが好調だったことに加えて、同業他社の一部製品の販売中止に伴う代替需要としてゲンタマイシン軟膏やピコスルファートナトリウム内用液などが伸長した。また、7月1日付で帝人ファーマより承継したボンアルファ・ボンアルファイも想定を上回った。コスト増と価格転嫁遅れで収益性が低下した。なお岩城製薬佐倉工場では、高活性注射液棟の改修を行っており、23年秋の稼働に向けて準備を進めている。なお、医療用医薬品の薬価制度では原価上昇分を即時に価格転嫁し得ないため、収益性が低下したとしている。

 化学品事業は、売上高が2.1%減の63億23百万円で、営業利益が48百万円の損失(同1億30百万円の損失)だった。コスト上昇分の価格転嫁や販管費の見直しなどを推進したが、微細配線形成用薬品や受動部品向けめっき薬品の販売が低調だった。

 その他事業(人材事業、ふるさと納税事業などの新規事業)は、売上高が6百万円で営業利益が77百万円の損失(同28百万円の損失)だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が127億85百万円で営業利益が92百万円の損失、第2四半期は売上高が140億72百万円で営業利益が3億円、第3四半期は売上高が138億17百万円で営業利益が4億77百万円だった。営業利益は第1四半期をボトムとして回復基調である。

 通期連結業績予想は据え置いて、売上高が22年11月期比3.8%増の515億円、営業利益が12.2%減の7億20百万円、経常利益が53.8%減の4億10百万円、親会社株主帰属当期純利益が98.3%減の10百万円としている。配当予想は22年11月期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)としている。

 原材料価格などの不透明感を考慮して減益予想としている。ただし第3四半期累計の進捗率は売上高79%、営業利益95%、経常利益193%である。第1四半期がボトムとなったことに加えて、第3四半期累計の高進捗率なども勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益回復基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は地合い悪化の影響で9月の年初来高値圏から反落したが、モミ合いから上放れて基調転換した形だ。目先的な売りが一巡し、第3四半期累計業績を評価して上値を試す展開を期待したい。10月13日の終値は473円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS25銭で算出)は約1892倍、今期予想配当利回り(会社予想の18円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS685円24銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約193億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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