ダイハツ出荷停止、側面衝突試験不正は64車種・174個に拡大、トヨタ、マツダ、SUBARUにもOEM供給

ダイハツ工業 7262

■側面衝突試験で「乗員救出性に関する安全性能(ドアロック解除)」に不備の可能性も

 ダイハツ工業は2023年12月20日、第三者委員会の調査結果を公表した。調査の結果、側面衝突試験の認証申請における不正が、4月に公表された4車種・3試験項目に加えて、新たに25試験項目・174個に拡大したことが判明した。不正行為が確認された車種は、ダイハツブランドの車種に加え、トヨタ自動車<7203>(東証プライム)、マツダ<7261>(東証プライム)、SUBARU<7270>(東証プライム)へOEM供給をしている車種も含まれており、計64車種・3エンジンに上った。

 ダイハツは、今回の調査結果を受け、現在国内外で生産中の全てのダイハツ開発車種の出荷を一旦停止することを決定した。今後、国土交通省をはじめ、各国の関係当局に報告・相談の上、必要な対応を進める。

 また、第三者委員会の調査の過程で、不正の恐れのある車種について、第三者委員会より一部情報提供を受け、ダイハツは、安全性能・環境性能が法規基準を満たしているか、一つひとつ社内で技術検証・実車試験等を行い確認してきた。

 調査の最終段階で、ダイハツ・ムーヴ/SUBARU・ステラ、ダイハツ・キャスト/トヨタ・ピクシスジョイ、ダイハツ・グランマックス/トヨタ・タウンエース/マツダ・ボンゴのエアバッグに関する試験において、量産品と同じ「エアバッグ展開コンピューター(ECU)」が使われていなかったという不正が判明した。技術検証を行い、エアバッグに関する乗員保護性能に問題はなかったものの、検証を行う中で、キャスト/ピクシスジョイの側面衝突試験における「乗員救出性に関する安全性能(ドアロック解除)」が法規に適合していない可能性も判明した。現時点で、本件に関係する事故情報は把握していないが、徹底した技術検証と原因究明を行っており、速やかに必要な対応を実施する。

 その他の事案については、法規が定める性能基準を満たしていることは確認すると共に、検証結果・プロセスの妥当性についても、第三者認証機関である「テュフ・ラインランド・ジャパン株式会社」にご確認いただいている。

 ダイハツは、今回の不正行為について、「認証」とは、お客様に安心してクルマにお乗りいただくための様々な基準を満たしているかを、あらかじめ国に審査・確認いただくものであり、認証の適切な取得は、自動車メーカーとして事業を行う前提であると考えており、今回、その認証を軽視していると指摘されてもやむを得ない行為が行われていたこと、また、そのような行為が行われる環境を生み出してしまったことの責任は経営陣にあると、大変重く受け止めている。

 今後、第三者委員会の提言も踏まえ、再発防止を徹底し、認証業務の見直しに留まらず、コンプライアンス意識を第一とした企業風土への抜本的な改革に取り組んでいく。ステークホルダーの皆様の信頼を取り戻し、今一度、日本の国土・道にあった「国民の足」を提供できるメーカーとなるべく、トヨタから全面的な支援を受けながら、会社再生に向け、全社を挙げて取り組んでいく。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
  2. ■うつ・統合失調症・発達障害を脳から理解する、最前線研究を平易にまとめた一冊  翔泳社は11月25…
  3. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  2. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  3. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  4. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  5. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  6. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る