【編集長の視点】JESCOHDは初決算発表を先取り割安直近IPO株買いが増勢

編集長の視点

JESCOホールディングス<1434>(東2)は、一時1円高の500円と、今年9月8日の新規株式公開(IPO)時の公開価格540円に肉薄した。同社株は、10月14日にIPO後の初決算となる前2015年8月期業績の発表を予定しているが、続く今2016年8月期業績の続伸を期待して割安直近IPO株買いが増勢となっている。10月5日に大筋合意となった環太平洋経済連携協定(TPP)が、同社のアセアンEPC事業に追い風となることもサポート材料として注目されている。

■アセアンEPC事業にTPP大筋合意が追い風となり業績続伸期待

同社が目下集計中の前2018年8月期業績は、売り上げ76億5000万円(前々期比12.3%増)、経常利益3億3600万円(同11.6%増)、純利益2億1000万円(同1.8%増)と予想された。電気設備工事、電気通信工事、総合メディア事業を展開する独立系の設備工事事業者として、工事の基本設計から実施設計業務、施工用の資材調達業務、施工の管理業務まで一気通貫に手掛けるEPC事業をビジネスの特徴としており、国内EPS事業では、周波数再編や高度化に伴う移動体基地局工事、防災・消防無線デジタル化の整備工事、道路付帯設備・再開発プロジェクト向け大型修繕事業の売り上げが拡大、アセアンEPC事業では、ベトナムのハノイ新設国際空港の電気設備工事やベトナム高速道路公社の南北高速道路交通システムの電気通信工事設計・施工をベースにアセアン地域に事業領域を拡大、ベトナムで優秀なエンジニアを確保し、高品質と低コストを実現していることなどが寄与する。

とくにアセアンEPC事業では、TPP交渉にベトナム、マレーシア、シンガポール、ブルネイなどが参加して大筋で合意、世界のGDP(国内総生産)の約40%を占める世界最大の自由貿易圏が誕生するだけに、同社のビジネス機会が拡大し業績を押し上げる展開が予想され、10月14日の決算発表時での今1016年8月期業績の開示動向が注目される。

■「小さく産んで大きく育てる」のIPO投資の鉄則通りにPER10倍台の割安修正

株価は、公開価格540円でIPOされ569円で初値をつけ上場来高値574円と買い進まれたが、IPO人気の一巡に世界同時株安の波及が重なって上場来安値411円まで突っ込み、下げ過ぎとしてストップ高を交えて513円と反発したあと、最高値からの調整幅の3分の1戻し水準で値固めを続けてきた。PERは10倍台と割安であり、「小さく産んで大きく育てる」とするIPO株投資のセオリー通りになお下値買い妙味を示唆している。(本紙編集長・浅妻昭治)

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