【編集長の視点】サイバーリンクスはもみ合いも東証1部変更の好需給思惑に業績上ぶれ期待がオンして下げ過ぎ訂正余地

編集長の視点

サイバーリンクス<3683>(東1)は、4円高の1674円と反発して始まったあと、9円安と下ぶれるなど前日8日終値を挟んでもみ合っている。同社株は、今年10月6日に東証第2部から同1部に市場変更されたばかりで、市場変更に伴い東証株価指数(TOPIX)に算入されTOPIX連動型のファンドの買い増しなどの需給好転思惑を強めて上値を追い、目先の利益を確定する売り物が交錯している。ただこの好需給に加えて、今年8月に発表した今12月期第2四半期(2Q)累計業績が、今年7月14日の上方修正通りに12月通期業績に対して高利益進捗率を示したことも見直され業績上ぶれ期待を高め、下げ過ぎ訂正期待の買い物が再燃する展開も想定される。

■昨年3月のIPOから1年半で東証2部・1部と急ピッチに市場変更

同社株は、昨年3月6日にジャスダック市場(スタンダード)に新規株式公開(IPO)されたが、今年3月2日に東証第2部に市場変更され、それから約7カ月後の10月6日に東証第1部に指定替えされるなど急ピッチに市場変更をしてきた。この間、前2014年12月期業績を2回も上方修正したほか、1対3の株式分割(基準日2014年9月30日)や2回の前期配当の増配を発表する積極的な株主還元策も実施してきた。

 今12月期業績も、今年7月14日に今期2Q累計業績を上方修正し、2Q累計業績は、売り上げ49億8900万円(前年同期比12.8%増)、経常利益5億4400万円(同48.9%増)、純利益3億3000万円(同52.1%増)で着地した。モバイルネットワーク事業では、携帯電話端末販売台数が期初計画を上回り、ITクラウド事業では、流通業向けクラウドサービスの導入が増加し、自治体向けのシステム開発や情報システム構築案件も予想を上回り、この増収効果とシステム開発で利益率の高い案件が増え、開発の内製化による外注費の削減や設備投資の最適化による費用削減が加わって上方修正につながった。

12月期通期業績は、流通業向けビジネスの進捗状況、官公庁向けビジネスの入札案件の受注確度などなお不確定要素が多いとして期初予想を据え置き、売り上げ91億100万円(前期比2.8%増)、経常利益6億1000万円(同3.3%増)、純利益3億6300万円(同6.1%減)と見込んでいる。ただ2Q累計業績は、12月通期業績に対して経常利益が89%、純利益が90%と目安の50%を大きく上回り高利益進捗率を示しており、前期と同様の業績上方修正も有力視される。

■立会外分売価格1740円奪回から弾みをつけて分割権利落ち高値を目指す

株価は、公開価格2400円に対して6550円で初値をつけ株式分割を歓迎して上場来高値9560円まで買い進まれ、6410円で株式分割の権利を落とした。権利落ち後は、落ち後高値2035円から1313円まで調整、この安値でダブルボトムを形成、東証1部指定替えの前準備として実施した立会外分売をむしろ歓迎して1870円までリバウンド、25日移動平均線で下値を確認しつつ中段固めを続けてきた。まず立会外分売価格1740円を奪回して弾みをつけ、8月の戻り高値1870円抜けから権利落ち高値2035円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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