【業績でみる株価】日本MDMは輸入商社からメーカーへ大胆に変身、収益も様変わり、整形外科の好事業環境背景に中期4ケタも

業績でみる株価

日本エム・ディ・エム<7600>(東1・100株単位)

人工関節、骨接合材料等の大手。輸入商社から自社での開発製造に転換し業績、とくに利益の伸びが顕著だ。このほど今期業績を上方修正した。

<足元の業績>

13日に2016年3月期の第2四半期と通期の上方修正を発表した。先ず、第2四半期(4~9月累計)については、売上を7000万円増額の61億7000万円(前年同期比16%増)、営業利益も1億9000万円増額の6億9000万円(同40.2%増)とした。

通期については、売上で5000万円増額の133億5000万円(15年3月期比12.6%増)、営業利益は2億円増額の16億円(同比23.5%増)とした。通期の1株利益は27.6円(15年3月期は繰延税金資産の取り崩しなどでマイナス14.8円)と向上、配当は1円増配の年6円(期末一括)の予定。

増額の理由は、人工関節製品、骨接合材料製品、脊椎固定器具製品などの売上が国内及び米国で予想を上回る好調なため。

<注目セクター>

同社は整形外科分野に特化している。今回の上方修正を含め、最近の業績において営業利益の伸びが目立っているのが特徴。長年、ジョンソン・アンド・ジョンソン(J&J)製品を日本国内で輸入販売していたが、2012年6月で契約を解消し米国子会社を中心に自社での製品開発製造販売に一大転換したことによる成果である。

当然、利益率は輸入販売時代に比べ大きく向上し前期(15年3月期)の営業利益率は10.9%と10%台に乗せ、13年3月期の営業赤字に比べると様変わりである。

国内では「人工関節」、「骨接合材料」、「脊椎固定器具」を販売、いずれも前期実績では2ケタ伸長、なかでも脊椎固定器具は55.0%という高い伸び。

一方、米国では、「人工関節」と、「脊椎固定器具」を販売。とくに、人工関節は伸びが非常に高く年商約35億円と国内の人工関節売上約38億円と肩を並べ同社の収益の柱となっている。

米国子会社ODEV社との間で製品を共同開発している。同社はODEN社製品の販売を中心に他社品の販売も行っているが、自社製品売上比率は前期実績で80.0%(14年3月期74.4%)となっている。

<今後の展望>

2016年3月期から2018年3月期までの3カ年を実施機関とする中期経営計画「MODE2017~step up to ntxt stage」を策定している。メーカーとしての成長を加速させ、日本だけでなく北米においても収益の伴った高成長を目指している。とくに、成長領域における注力分野を定め、新製品の開発力向上に加え整形外科隣接分野での調達強化を図る。隣接分野等の新規領域に関しては日本、米国、欧州を中心に市場調査を継続的に実施、市場性の見極めと業務提携先選定に取り組んでいく。

米国では活動的な老後を過ごす意識が強く、進んで人工関節の手術を受け登山、ゴルフ等で老後の人生をエンジョイしている。日本でも最近はアメリカと同じような傾向が強まり整形外科分野の需要は明るいといえる。

<株価の位置と展望>

上場は1998年12月、権利修正で2001年5月に5930円の上場来高値がある。2009年2月に安値122円のあと上放れる14年6月までのほぼ5年間は業績停滞もあって200円を挟んだモミ合いだった。

輸入販売から自社での開発製造販売に転換、業績向上とアクテイブシニア関連ということから見直され14年11月に698円まで値を上げた。今年になっては7月に483円まで調整、さらに8月のチャイナショックで8月25日に494円と二番底をつけ足元では10月14日に675円と年初来の高値に進んでいる。

上場来高値に対しては、わずか1.1合目という水準で、いわゆる「天井は高い銘柄」である。今期予想の利回りは0.88%、PER24.5倍ととくに割安が目立つということではないが、高齢化社会を背景に好事業環境が期待されること、メーカー機能を発揮し売上以上に利益の伸びに期待できることなどから判断すれば中期4ケタは期待できるだろう。昨年11月の698円を抜けば弾みがつきそうだ。

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