大阪大学とNTT、量子コンピュータのシミュレーション性能を飛躍的に向上させる新手法開発

■量子シミュレーションの限界を突破する「局所仮想純化法」

 量子コンピュータにおけるシミュレーション性能を劇的に向上させる新しいアプローチ「局所仮想純化法」が大阪大学とNTT(日本電信電話)<9432>(東証プライム)をはじめとする研究グループによって発表された。従来の量子シミュレーションでは、冷却温度の限界やノイズの影響を克服するため「蒸留」と呼ばれる手法が用いられてきたが、問題のサイズが大きくなると測定回数が指数関数的に増大するという課題があった。

※量子コンピュータ:物理学における最も基礎的な学問の一つである、量子力学に基づいて動作する計算機のこと。

 新手法は、物理学の基本概念である局所性を応用し、着目する局所領域にのみ蒸留を実行することで、測定回数を大幅に削減することに成功した。研究グループは、この手法が有効に機能する理論的条件を明らかにし、数値計算によってその有効性を実証した。

 同研究成果は、量子シミュレーションの実用化に向けた重要な一歩であり、物性物理学や量子化学など、複雑な量子力学的現象が現れる多くの分野への応用が期待される。さらに、未解明の量子多体現象の解明にもつながる可能性がある。

 研究成果は、2024年8月23日に米国科学誌「Physical Review Letters」のオンライン版に掲載される。同研究は、文部科学省や科学技術振興機構(JST)などの支援を受けて実施された。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■電気刺激で塩味1.5倍、食事の楽しみと健康を両立  キリンホールディングス<2503>(東証プラ…
  2. ■2026年初頭以降に各地域で発売予定、累計130万台の系譜を継承  トヨタ自動車<7203>(東…
  3. ■月間20両製造可能、600両超の受注案件に対応  日立製作所<6501>(東証プライム)は9月9…
2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ピックアップ記事

  1. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  2. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…
  3. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  4. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…
  5. ■自民党総裁選と連立問題が相場を左右、短期急伸と急落を交錯  高市トレードは、まるで「超高速エレベ…
  6. ■東京市場、リスクオンとリスクオフが交錯、安全資産関連株に注目  週明けの東京市場は、米国株反発に…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る