And Doホールディングス、主力事業が好調を維持、高収益化戦略が奏功、26年6月期も収益拡大基調

 And Doホールディングス<3457>(東証プライム)は住まいのワンストップサービスを展開している。ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産売買事業を成長強化事業と位置付けて、不動産×金融サービスの深化による高収益化を目指す不動産テック企業である。25年6月期は増収増益予想としている。積極的な事業展開で26年6月期も収益拡大基調だろう。株価は4月の年初来高値圏から反落してほぼ一本調子に水準を切り下げたが、売られすぎ感を強めている。高配当利回りなども評価材料であり、調整一巡して反発を期待したい。なお8月14日に25年6月期決算発表を予定している。

■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業

 FCチェーンネットワーク構築による不動産情報のオープン化と、時代に即した不動産ソリューションサービスを提供する不動産サービスメーカーとして、住まいのワンストップサービスを展開し、さらに不動産×金融サービスの進化による高収益化を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。

 不動産流通事業で創業した後、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開して業容を拡大した。

 なお第一生命ホールディングス<8750>との資本業務提携により、25年6月4日付で第一生命ホールディングスが第2位株主となった。

■ストック収益型事業が収益柱

 ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入など、ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業、および不動産売買事業を成長強化事業と位置付けて収益の柱としている。ハウス・リースバック事業では取得した収益不動産物件の売却も進める。

 24年6月期のセグメント別営業利益構成比(全社費用等調整前)は、成長強化事業が91%(フランチャイズ事業が24%、ハウス・リースバック事業が38%、金融事業が1%、不動産売買事業が28%)、不動産流通事業が7%、リフォーム事業が3%、その他が▲0%だった。不動産売買事業は大型物件などによって構成比が変動しやすい。

 フランチャイズ事業の累計加盟店舗数は、24年6月期末時点で23年6月期末比15店舗増加して707店舗となった。20年9月に全国47都道府県すべてに出店契約を達成し、賃貸不動産仲介事業の新ブランド「レントドゥ!」も展開している。中期的には25年に国内1000店舗、アジア5万店舗を目標としている。23年3月には、持分法適用会社(現地合弁会社)であるタイのH-DO社がタイのAAA社とFC契約を締結し、タイでのFC1号店をオープンした。25年4月にはハウスドゥ加盟店への人材採用支援を目的として、ハウスドゥ住宅販売がエン・ジャパン<4849>と業務提携した。25年6月にはハウスドゥ加盟店のDX化支援を目的として、ハウスドゥ住宅販売がTRUSTARTと業務提携した。

 ハウス・リースバック事業では、24年6月期期末の保有件数が23年6月期末比86件減少して587件、保有物件総額(簿価ベース)が17億21百万円減少して85億12百万円となった。契約件数は23年6月期比81件減少の1157件、物件取得数は24件増加の1171件だった。

 金融事業では、リバースモーゲージの24年6月期の新規保証件数が23年6月期比124件増加の545件、期末保証残高が76億72百万円増加の208億41百万円、不動産担保融資の期末融資残高が6億22百万円減少の18億53百万円となった。リバースモーゲージ保証事業は地域金融機関等との提携を推進(24年2月末時点で提携金融機関数50を達成)するとともに、リバースモーゲージのさらなる普及拡大に向けて銀行代理業許可を取得している。25年1月には提携先の楽天銀行リバースモーゲージ保証残高が100億円を突破した。なお不動産担保融資については戦略的に縮小させている。24年3月には、老後の資金づくりに悩むシニア層と金融機関をつなぐマッチングサイト「シニア向けローン相談所」を開設した。

 23年7月には、IoTでスマートな宿泊体験を提供する宿泊施設LUXE TECH VILLA(ラグジュテックヴィラ)の第1号を奄美大島にオープンした。また24年3月には建売ブランド「SHIRO」提供開始を発表した。

 またM&A・アライアンスも積極活用しており、24年6月にはドローン屋根外装点検サービスを展開するCLUEと業務提携した。24年10月には次世代不動産取引DXエンゲージメントプラットフォーム「Musubell(ムスベル)for仲介」を提供するデジタルガレージ<4819>と業務提携した。

■中期経営計画(23年6月期~25年6月期)

 中期経営計画(23年6月期~25年6月期)では目標数値に、25年6月期の売上高518億19百万円、営業利益41億79百万円、経常利益40億円、親会社株主帰属当期純利益26億40百万円、経常利益率7.7%を掲げている。配当性向は30%以上を基本水準とする。

 事業セグメント別の25年6月期の計画は、フランチャイズ事業の売上高41.8億円で営業利益29.0億円、ハウス・リースバック事業の売上高214.2億円で営業利益28.3億円、金融事業の売上高14.1億円で営業利益6.0億円、不動産売買事業の売上高207.6億円で営業利益18.0億円、不動産流通事業の売上高20.4億円で営業利益6.4億円、リフォーム事業の売上高27.0億円で営業利益2.3億円としている。

 成長強化事業の主要指標の計画(25年6月期)は、フランチャイズ累計加盟店舗数が865店舗、ハウス・リースバック事業の年間仕入契約数が1440件、リバースモーゲージ保証残高が506億円、リバースモーゲージ提携金融機関が100行、不動産売買のたな卸資産残高が140億円としている。

 成長戦略として、成長強化事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融・リバースモーゲージ事業、不動産売買事業)のさらなる拡大、不動産×金融サービスの深化、高収益体質化の促進を推進する。

 23年6月には、Sanu社が提供する新たな法人向け会員制宿泊サービス「SANU 2nd Home(サヌセカンドホーム)の導入を発表した。福利厚生の一環として社員に対し、都市生活だけでは得られない創造的なインスピレーションとの出会いを提供する。

■25年6月期増収増益予想、26年6月期も収益拡大基調

 25年6月期の連結業績予想は売上高が前期比3.6%増の700億円、営業利益が11.5%増の40億円、経常利益が15.7%増の40億円、親会社株主帰属当期純利益が6.6%増の26億40百万円としている。配当予想は前期比2円増配の45円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は33.9%となる。

 第3四半期累計(24年7月~25年3月)は、売上高が前年同期比4.6%減の470億円、営業利益が30.1%減の16億96百万円、経常利益が23.2%減の17億23百万円、親会社株主帰属四半期純利益が12.9%増の16億86百万円だった。

 ハウス・リースバック事業におけるファンドへの譲渡減少等により減収、営業・経常減益だったが、事業譲渡益計上により最終増益だった。子会社のハウスドゥ販売管理の賃貸部が展開する賃貸管理・仲介・修繕工事等の事業を25年3月末にアーキテクト・ディベロッパーに譲渡し、特別利益に事業譲渡益7億66百万円を計上した。

 フランチャイズ事業は売上高(調整前)が0.9%減の24億12百万円、営業利益(調整前)が4.5%減の14億27百万円だった。小幅減収減益だった。累計加盟店数(レントドゥ含む)は13店舗増加して718店舗、累計開店店舗数は2店舗減少して623店舗となった。

 ハウス・リースバック事業は売上高が33.0%減の122億04百万円、営業利益が36.3%減の13億08百万円だった。HLBファンドへの譲渡が減少して大幅減収減益だった。契約件数は212件減少して674件、物件取得数は203件減少して678件、期末保有物件数は33件増加して751件、期末保有物件総額(退去分除く取得時価格累計)は2億38百万円増加して106億14百万円となった。なお営業外収益の匿名組合投資利益として計上しているHLBファンドからの利益分配5億44百万円(前年同期は2億60百万円)をセグメント業績に含めると、セグメント営業利益は20.0%減の18億52百万円となる。

 金融事業は売上高が26.1%増の4億24百万円、営業利益が183.8%増の1億41百万円だった。大幅増収増益だった。リバースモーゲージ保証の新規保証件数は29件減少して365件、保証残高は84億97百万円増加して266億70百万円となった。なお不動産担保融資は戦略的に縮小(融資残高は2億68百万円減少して16億64百万円)している。

 不動産売買事業は売上高が中古住宅を中心に伸長して14.9%増の296億82百万円だが、営業利益が人員増強の影響などで12.7%減の17億28百万円だった。取引件数は172件増加して859件だった。

 不動産流通事業は成長強化事業への人員シフトにより売上高が17.1%減の10億41百万円、営業利益が23.3%減の3億37百万円だった。仲介件数は181件減少して1116件だった。

 リフォーム事業は売上高が5.9%減の16億44百万円、営業利益が12.5%増の1億67百万円だった。契約件数は87件減少して1012件、完工件数は96件減少して1042件だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が145億45百万円で営業利益が3億84百万円、第2四半期は売上高が223億82百万円で営業利益が12億20百万円、第3四半期は売上高が110億73百万円で営業利益が92百万円だった。

 通期連結業績予想は期初計画を据え置いて増収増益、そして配当は連続増配予想としている。セグメント別計画(調整前)はフランチャイズ事業の売上高が6.6%増の34億50百万円で営業利益が9.4%増の22億円、ハウス・リースバック事業の売上高が1.7%増の265億28百万円で営業利益が1.3%増の32億50百万円、金融事業の売上高が27.5%増の6億27百万円で営業利益が128.2%増の2億40百万円、不動産売買事業の売上高が5.4%増の363億円で営業利益が19.4%増の28億50百万円、不動産流通事業の売上高が6.7%減の15億44百万円で営業利益が10.0%減の5億20百万円、リフォーム事業の売上高が6.5%減の22億81百万円で営業利益が14.6%減の2億円としている。なお25年6月に棚卸資産の譲渡(ハウス・リースバック資産の信託受益権をHLB21号へ譲渡)を発表した。譲渡価格(予定)は41億91百万円、譲渡益(予定)は6億15百万円で、25年6月期業績予想に織り込み済みとしている。

 フランチャイズ事業は都市部の開発に注力し、人材やプロモーションへの積極投資を行う。ハウス・リースバック事業は不動産売買事業とのバランスを見つつ、取得件数の拡大を目指す。金融は保証残高の積み上げを加速し、付随する不動産取引の獲得によりグループ収益への貢献を目指す。不動産売買事業は回転率にも留意し、グループ業績の牽引役としてさらなる飛躍を図る方針だ。積極的な事業展開で26年6月期も収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は毎年6月末

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年6月末日現在の5単元(500株)以上保有株主を対象に、保有株式数に応じて株主限定特設ウェブサイト「And Doホールディングス・プレミアム優待倶楽部」で商品に交換できるポイントを贈呈する。

■株価は売られすぎ感

 株価は4月の年初来高値圏から反落してほぼ一本調子に水準を切り下げたが、売られすぎ感を強めている。高配当利回りなども評価材料であり、調整一巡して反発を期待したい。7月10日の終値は1072円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS132円62銭で算出)は約8倍、前期推定配当利回り(会社予想の45円で算出)は4.2%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS865円07銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約214億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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