飛島建設、大規模炭素貯蔵技術を開発、液状化対策と気候変動緩和を両立

■薪状木材を活用し、液状化抑制とCO2貯留を同時に実現

 飛島ホールディングス<256A>(東証プライム)グループの飛島建設は7月10日、「木材を用いた大規模炭素貯蔵技術」の開発を発表した。地震時の液状化対策として地中に木材製の柱状構造物を打ち込み、同時に大量の炭素を地中に固定するというもので、秋田県立大学での施工実験により実現性が確認された。本技術は、2023年に締結された京都大学防災研究所との連携協定に基づく共同研究の成果である。

■非通直丸太の新用途を創出、森林経営の好循環にも寄与

 同技術では、あらゆる形状や樹種の丸太を短く切断し束ねた「木質コラム」を20メートルの深さまで地中に打設する。これにより液状化現象を抑制しつつ、光合成によって吸収された炭素を長期にわたって地中に保存できる。改良深度20メートル、改良率5%の条件下では、施工面積1ヘクタールあたりCO2換算で4200トン(一般家庭の年間排出量の約1650年分)を貯蔵可能とされる。木材は地中深くでは腐食しないため、半永久的な炭素隔離が期待されている。

 加えて、通直でない丸太や低価格の未利用木材も使用できることから、国内における再造林率の低迷に対して新たな木材需要を創出し、持続可能な森林経営の促進にも資する。森林資源の循環利用と建設分野の炭素固定が結びつくことにより、環境・防災両面での社会的意義は大きい。

 今後はさらなる研究開発を通じて社会実装を加速させ、「2050年カーボンニュートラル」目標の実現に貢献する構えである。また、それを超えた「カーボンネガティブ社会」の実現にも道を拓く技術として注目されている。地震対策と脱炭素化を一体で推進するこの試みは、建設業が果たすべき次世代インフラのあり方を提示するものといえる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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