アステナホールディングス、25年11月期利益予想を2回目の上方修正、さらに3回目の上方修正の可能性

 アステナホールディングス<8095>(東証プライム)は、7月11日に25年11月期第2四半期累計(中間期)連結業績を発表した。前回予想を上回る増収・大幅増益で着地した。化学品事業が需要回復遅れで低調だったが、ファインケミカル事業、HBC・食品事業、医薬事業が好調だった。そして通期連結業績予想を上方修正(売上高は1回目、各利益は2回目)した。通期利益予想は3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上げ一服の形だったが調整一巡して反発の動きを強めている。25年11月期の上方修正に加え、高配当利回りや1倍割れの低PBRなども支援材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■25年11月期利益予想を2回目の上方修正

 25年11月期第2四半期累計(中間期)連結業績は売上高が前年同期比7.2%増の301億02百万円、営業利益が65.2%増の22億22百万円、経常利益が56.3%増の21億49百万円、親会社株主帰属中間純利益が82.8%増の12億88百万円だった。

 前回予想(25年5月28日付で売上高を据え置き、各利益を上方修正して売上高300億円、営業利益16億円、経常利益16億円、親会社株主帰属中間純利益9億円)を上回る増収・大幅増益で着地した。化学品事業が需要回復遅れで低調だが、ファインケミカル事業、HBC・食品事業、医薬事業が好調だった。

 ファインケミカル事業は売上高(外部顧客への売上高)が11.6%増の115億58百万円、営業利益(全社費用等調整前)が8億71百万円(前年同期は0百万円の損失)だった。医薬品原料プラットフォーム部門が伸び悩んだが、医薬品開発エコシステム部門の受注が好調に推移し、医薬品CDMO(医薬品開発製造受託)部門ではCMO事業、自社品製造事業とも好調に推移した。

 HBC・食品事業は売上高が19.6%増の80億17百万円、営業利益が2.7倍の5億44百万円だった。食品原料部門、化粧品原料部門、ライフサイエンス部門は需要が伸び悩んだが、化粧品製品部門が自社企画製品「Pureal」の販売好調に加え、韓国コスメの輸入化粧品「Torriden」シリーズの新製品投入効果も寄与して伸長した。

 医薬事業は売上高が11.0%増の60億09百万円、営業利益が10.2%増の6億79百万円だった。医薬品部門が堅調に推移し、美容医療部門では医療機関専売化粧品「NAVISION DR」シリーズが伸長した。

 化学品事業は売上高が19.6%減の44億99百万円、営業利益が65.4%減の1億90百万円だった。表面処理薬品部門、表面処理設備部門とも需要回復遅れが影響した。

 その他事業(人材事業、ふるさと納税事業、投資事業等の新規事業)は、売上高が5.9%減の17百万円、営業利益が2億02百万円の損失(前年同期は51百万円の損失)だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が143億34百万円で営業利益が10億32百万円、第2四半期は売上高が157億68百万円で営業利益が11億90百万円だった。

 通期の連結業績予想は25年7月11日付で上方修正(売上高は1回目、各利益は2回目)して、売上高が前期比10.4%増の640億円、営業利益が10.1%増の31億円、経常利益が3.4%増の29億円、親会社株主帰属当期純利益が18億円(前期は減損損失計上では25億25百万円の損失)としている。配当予想は据え置いて前期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)としている。予想配当性向は40.3%となる。

 前回予想(25年5月28日付で売上高を据え置き、各利益を上方修正して売上高630億円、営業利益26億円、経常利益25億円、親会社株主帰属当期純利益15億円)に対して、売上高を10億円、営業利益を5億円、経常利益を4億円、親会社株主帰属当期純利益を3億円それぞれ上方修正した。営業利益と経常利益は従来の減益予想から一転して増益予想となった。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47%、営業利益が72%、経常利益が74%、親会社株主帰属当期純利益が72%である。通期利益予想は3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は上げ一服の形だったが調整一巡して反発の動きを強めている。25年11月期の上方修正に加え、高配当利回りや1倍割れの低PBRなども支援材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。7月11日の終値は492円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円63銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の18円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS624円60銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約202億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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