アイ・ピー・エス、国際海底ケーブル共同建設への参画と大口IRU受注を発表

■耐用年数25年・商用開始は2028年3月予定

 アイ・ピー・エス(IPS)<4390>(東証プライム)は7月30日、日本・フィリピン・シンガポールを結ぶ新たな国際海底ケーブルへの設備投資(固定資産の取得)と、大口受注(同ケーブルの一部使用権提供)を発表した。コンソーシアム形式の共同建設に参画し、アジアでの通信事業拡大に向けた新たなベース資産と位置づける方針だ。既保有のCity-to-City Cable System(C2C回線)に加え、陸揚局や中継通信回線の構築も含め事業拡大に資する。許認可の取得・維持を通じて長期の権利と責任を負い、フィリピンおよび日本のデータハブ化やAIインフラ整備、経済安全保障の強化への貢献も見込む。グローバルテック企業や大手通信事業者、ケーブルテレビ事業者、ISP、法人・個人、フィリピンの政府機関・自治体にもメリットが及ぶとしている。今回の投資は同社の過去最大規模だ。

 同社所有分はトランク(幹線)3ファイバーペア(FP)と一部ブランチ(支線)のFPで、耐用年数は25年、商用利用開始は2028年3月予定とする。取得価額は131百万米ドル(約190億円、1米ドル=145円換算)で、直前連結会計年度末の連結純資産額の30%を超える規模だ。取締役会決議日は2025年7月30日、物件引渡は2028年3月予定。コンソーシアムや総投資額などの詳細は守秘義務により非公表で、合意により開示可能となれば速やかに公表する方針だ。

 大口受注は当社所有分の一部使用権を対象とする25年の長期IRU契約で、提供金額は45百万米ドル(約65億円)。建設期間中は顧客から段階的な前受金を受け取り、完成までは売上計上しない。2028年3月予定の引渡時にIRU収益を一括計上し、その後は運用保守収益を継続計上する見込みだ。資金は手許資金と営業キャッシュフローに外部調達を組み合わせ、複数行と協議中である。前受金を建設資金に充当しキャッシュフローの安定化と自己負担の抑制を図る。投資回収は完成後5年程度を想定し、過去のC2Cやフィリピン国内海底ケーブルネットワーク(PDSCN)と同様のモデルを描く。2026年3月期連結業績への影響は精査中で、判明次第開示するとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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