商船三井、ウインドチャレンジャー4基搭載LNG船でAiP取得、燃費最大30%削減を見込む

■HHI・SHIと共同開発、マーシャル・リベリアからも承認

 商船三井<9104>(東証プライム)は9月8日、硬翼帆式風力推進装置「ウインドチャレンジャー」を4基搭載した新船型LNG船について、ロイド船級協会から基本設計承認(Approval in Principle:AiP)を取得したと発表した。韓国のHD現代重工業(HHI)およびサムスン重工業(SHI)とそれぞれ共同開発を進めており、マーシャルアイランドとリベリアからも承認を得た。新船型は貨物槽容積約17.4万立方メートルで、船橋を前方に配置し、4基のウインドチャレンジャーを効率的に搭載する設計とした。燃費削減効果は1航海あたり最大30%、年間平均で15~20%程度を見込んでいる。安全性に関しては、造船所・船級協会・旗国と連携し、帆の配置や視界確保、非常時対応などを網羅的に評価している。

 同社は、イタリア・ミラノで9月9日から開催される「Gastech Exhibition & Conference 2025」に出展し、本新船型に関する展示や記念式典を予定している。今回のAiP取得は、2050年までのネットゼロ・エミッション達成を掲げる「商船三井グループ環境ビジョン2.2」に沿ったものであり、同社が推進する低・脱炭素化の重要な一歩となる。ウインドチャレンジャーは自動制御により安全な航行を維持しつつ、燃料消費量と温室効果ガス排出量の削減を可能にする技術であり、同社は2030年までに25隻、2035年までに80隻への搭載を計画している。

 これまでに2隻が竣工済みで、今後9隻への搭載が決定している。今回の新船型はその計画対象には含まれないものの、風力推進技術を取り入れた船隊拡充を加速させる。商船三井は環境負荷低減と安全輸送を両立させ、社会全体の低・脱炭素化への貢献を目指す方針を明確にしている。本件は「安全輸送・社会インフラ」「海洋・地球環境の保全」「海の技術を進化させるイノベーション」というサステナビリティ課題への対応としても位置づけられている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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