
■「敏感肌サイエンス」強化へ、ダーマ市場成長に向け研究加速
資生堂<4911>(東証プライム)は10月27日、東北大学病院皮膚科・周産母子センターとの共同研究により、生後2ヵ月時点で角層中に特定のタンパク質(SCCA1)が多い乳幼児は、3歳時点でアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを発症する可能性が高いことを発見したと発表した。同成果は乳幼児期におけるアレルギー発症リスクを早期に予測する診断法の確立につながるものであり、増加するアトピーや食物アレルギー患者の予防と生活の質向上への貢献が期待されている。共同研究者である東北大学病院の小澤麻紀医師は、2025年度サノフィ優秀論文賞「一般部門」を受賞し、同成果は日本アレルギー学会で発表された。
資生堂は、2006年に皮膚バリア機能低下の要因となるSCCA1を発見して以降、皮膚科学研究を長年にわたり推進してきた。2014年には乳幼児期からの保湿ケアがアトピー性皮膚炎の発症を約3割抑制する研究結果を発表しており、乳幼児期のスキンケア重要性を裏付けてきた。今回の共同研究では、アトピー性皮膚炎既往を持つ親を持つ117名の乳児を対象に、テープストリッピング法で採取した角層中のSCCA1量を経時的に測定。その結果、生後2ヵ月時点で頬や口周囲のSCCA1量が高い乳児ほど、3歳までにアトピー性皮膚炎または食物アレルギーを発症する割合が顕著に高いことが統計的に確認された。非侵襲的手法による早期診断の可能性を示す成果として注目される。
同社は今後も皮膚科医など専門医との共同研究を強化し、「敏感肌サイエンス」を軸に研究開発を推進する方針である。これにより、敏感肌や美容皮膚科領域など多様なニーズに対応した化粧品やサービスの開発を進め、日本国内のダーマ市場の成長加速を目指す。またR&D理念「DYNAMIC HARMONY」のもと、ブランド価値向上・循環型価値創造・新領域挑戦の3本柱で研究開発を展開。外部機関とのアライアンスによるオープンイノベーションを通じ、世界トップレベルの研究機関との知見融合を進めることで、肌科学を基盤とした「生涯を通じた健やかな美」の実現を掲げている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)























