芸能プロ倒産、過去2番目の高水準、SNS時代の地殻変動が直撃

■YouTube台頭と独立志向、芸能プロ苦境、2025年1~9月16件倒産

 東京商工リサーチ(TSR)がまとめた2025年1~9月の芸能プロダクション倒産状況によると、倒産件数は16件(前年同期20件、20.0%減)だった。件数は減少したものの、2024年の過去10年最多に次ぐ過去2番目の高水準で、業界の構造変化を反映している。SNSやYouTubeなどの台頭により、タレントが事務所を介さず活動する動きが広がり、テレビ局の製作費減少も重なった。タレントの移籍や独立が相次ぐなか、芸能プロとタレントの力関係に変化が生じ、従来のビジネスモデルが揺らいでいる。

■旧イエローキャブ破産も象徴、マネジメント構造が転換期に

 倒産の内訳を見ると、小・零細規模の事務所が大半を占め、「販売不振」が12件で最も多かった。他社倒産の余波も2件発生し、16件すべてが清算型の破産となった。資本金別では1百万円以上5百万円未満が9件で最多、負債額別では1千万円以上5千万円未満が12件と中心を占めた。地域別では関東が13件に上り、うち東京が10件と突出した。地方では中部、近畿、九州がそれぞれ1件ずつ発生している。小規模事務所の資金体力不足と市場環境の変化が淘汰を加速させた格好だ。

 象徴的事例として、旧イエローキャブの商標を引き継いだMプロダクション(東京都、負債4000万円)が7月に破産開始決定を受けた。同社は芸能プロのフランチャイズ展開を試みたが、計画が頓挫し商標を他社に譲渡した。芸能プロは独自のマネジメント手法を強みとしてきたが、コロナ禍やメディア構造変化の中で機能しにくくなっている。大手でも看板タレントの離脱で経営難に陥る例があり、事務所依存の時代は終焉を迎えつつある。9月には公正取引委員会が芸能人と事務所の契約適正化指針を公表し、業界は透明性と柔軟性を兼ね備えた新たな運営モデルの構築が求められている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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