【市場羅針盤】野生と人間の境界が崩れる中、「クマ関連株」が新テーマに浮上

■森林開発と餌不足が背景、自治体はAIと防護策で対応強化

 日本各地でクマによる被害がかつてない規模で発生している。環境省の最新統計では4~10月の死者が12人、負傷者が108人に達し、統計開始以来の最多水準となった。被害の約7割は山間部ではなく生活圏で起きており、住宅地や通学路にまで出没する事例も増えている。クマはもはや「山の動物」ではなく、人間社会の隣人となりつつある。

 被害増加の背景には、ドングリ類の不作や森林開発、メガソーラー建設による生息地の減少がある。餌を求めて人里に降り、容易に食料を得ることを学んだ個体が増えた結果、出没件数は全国で2万件を超えた。自治体や警察は駆除・捕獲体制を強化し、フェンスや撃退スプレーの普及、AI検知システムの導入など、多層的な対策を急いでいる。冬眠前のこの時期、被害拡大への警戒は「災害級」とも言われる。

 こうした社会的危機は、同時に株式市場でも注目を集めている。投資家の間では「クマ関連株」という独自テーマが浮上した。緊急猟銃の需要増でミロクが年初来高値を更新したほか、獣害防止ネットの日東製網、対策フェンスの日亜鋼業、撃退スプレー販売のモリトなども関心を集める。さらに、ライフル銃を扱う豊和工業、害獣監視システム「マタギっ娘」を手がけるマクセル、クマ検知AI「Face Bear」を開発したダイワ通信も物色対象となっている。自然と人間の境界が揺らぐ中で、安全技術や防災関連の銘柄が新たなテーマとして浮上している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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