TISとJPYC、日本円建ステーブルコイン決済で協業開始、2026年内に新決済サービス提供へ

■「JPYC」活用し国内外の決済利便性向上へ

 TISインテックグループのTIS<3626>(東証プライム)は11月14日、日本円建ステーブルコイン決済の社会実装に向け、JPYCと基本合意書を締結したと発表した。両社は2026年内の正式提供開始を目指し、TISが開発する「ステーブルコイン決済支援サービス」に日本円建ステーブルコイン「JPYC」を組み込む方針である。サービス利用事業者は専用端末なしで安価かつ短期間で決済手段を導入でき、2026年春から夏にかけてPoCを実施してサービスの有用性を検証する計画を掲げる。

 改正資金決済法によりステーブルコイン発行が可能になった2023年以降、国内ではキャッシュレス化が進む一方、中小企業を中心に依然として現金決済の負荷が残るなど課題が顕在化している。JPYCは2025年8月に資金移動業者として登録され、同年10月から日本円建ステーブルコイン「JPYC」の発行・償還を開始した。日本国債や預金で保全された同コインは、Avalanche、Ethereum、Polygonに対応し、国境を越えた電子商取引や訪日客の利用を含む多様な決済需要に応える基盤として期待が高まっている。TISはweb3領域の開発力を背景に、2025年2月にはdouble jump.tokyoと協業し、システム開発を先行して進めてきた。

 TISとJPYCは今後、ステーブルコインの発行・償還・流通を含む導入支援やシステム提供を共同で推進し、キャッシュレス未導入の中小企業や店舗でも利用可能なSaaS型サービスの展開を見込む。海外発行コインの受入れによるインバウンド需要の取り込み、加盟店手数料の1~2%削減などの効果も見込まれ、2031年度に売上高7億円、2036年度に20億円の事業規模を目標に掲げる。国内外を問わず多通貨対応を視野に入れ、オープンで柔軟な決済基盤の構築を進める構想である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国内唯一のブラシ式除雪車が北海道の主要空港で戦力化  加藤製作所<6390>(東証プライム)は1…
  2. ■日本発ロボ産業基盤づくりへ、住友重機・ルネサス・JAEが参画  一般社団法人京都ヒューマノイドア…
  3. ■2025年のパン屋倒産が急減、SNS発信とインバウンドが追い風  帝国データバンクは11月29日…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  2. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  3. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  4. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  5. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  6. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る