年内は「モヤモヤ解消相場」、年明けは日米とも景気注視の展開へ=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

 1年もの長きにわたって、「ヤル・ヤラナイ」と、やきもきさせてきたアメリカの利上げ問題がはっきりした。7年におよぶゼロ金利政策が終了、来年は利上げの展開を迎える。気になるのは株価への影響であることは言うまでもない。

 当面、少なくとも年内は、はっきりしなかった金利引上げ問題の霧が晴れたことで、「モヤモヤ解消相場」が続くものとみられる。しかし、年明けからは1本調子の上昇ということにはならないように思える。

 アメリカは景気に配慮して、今後の利上げは小幅となることは予想されるが、しかし、今回の利上げ方針決定は、今の景気がこれ以上、好調となる必要はないというメッセージでもある。住宅、自動車の販売はバブルともいえる状況でこれ以上の拡大が続くとバブルが破裂したときの反動が大きいものとなる。

 今後のアメリカ景気が小幅の利上げを吸収して緩やかな上昇を継続できるか、いわゆる、ソフトランディングができるかが注目されることになろう。このため、年明け以降のNYダウは景気に対する小さな変化に敏感となる展開が予想される。

 2009年3月のボトムから約7年で、ゼロ金利と量的金融緩和によって約3倍に上昇してきたNYダウが、一大転機を迎えていると捉えておきたい。大きく下がることはないとしても、言えることは、これまでと同じような短期間で3倍上昇は難しいということだ。

 一方、日経平均も2009年から約3倍に値上がりしているが、この間、アメリカが3度の量的金融緩和を実施したのに対し日本は2度の実施で、アメリカに習えばもう1度の金融緩和が見込めることになり、この点は日経平均はプラスである。1年強に迫った消費税10%を考えると最後の切り札の量的緩和は実施されるものとみられる。金融の支援が終わったNYダウと、金融支援の見込める日経平均ではこの点に大きい違いがあり、今後は徐々に日経平均はNYダウとは違った展開となる可能性がありそうだ。

 物色の中心は引き続きトヨタ自動車など主力株ではあるが、政府の方針である、「東京から全国隅々まで景気の実感を」、「大手企業の好調が中小企業へも波及効果を」ということからもそろそろマーケットでは主力株だけでなく中低位銘柄にも物色の矛先が向いてくるものとみられる。

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