調理用包丁業界が活況、売上高167億円・利益6億円超、体験型販売や輸出増が寄与

■海外の日本食レストラン増加とインバウンド需要を背景に、ふるさと納税や体験型販路も成長を後押し

 東京商工リサーチ(TSRデータインサイト)は3月19日、2026年「調理用包丁製造業」業績動向を発表した。調理用包丁メーカー38社の最新決算(2024年9月-2025年8月期)は、売上高167億3,300万円(前期比2.5%増)、利益6億2,300万円(同44.5%増)となり、いずれも過去5年で最高を記録した。増収・増益企業が増加し、業界全体の活況が鮮明となった。

■需要拡大の背景:輸出・インバウンド・国内需要

 背景には、海外需要と訪日客の増加がある。農林水産省によると、海外の日本食レストラン数は2025年に約18万1,000店と、2015年の約8万9,000店から倍増した。これに伴い日本の包丁の輸出需要が拡大している。国内でも、ふるさと納税やコロナ禍の巣ごもり需要を契機とした家庭用需要が継続している。さらに、量販店や海鮮市場併設店舗、調理体験を通じた販売など、多様な販路構築が購買を促している。

■地域構造:伝統産地と都市の二極

 売上高を都道府県別にみると、東京都が70億1,400万円(構成比41.9%)で首位となり、関市を擁する岐阜県が53億2,100万円(同31.8%)で続いた。新潟県は28億200万円(同16.7%)、高知県は7億5,000万円(同4.4%)、大阪府は5億8,500万円(同3.5%)だった。関市、燕・三条、堺などの伝統刃物産地と都市部企業が併存する構造が特徴となっている。

■産業構造と課題:老舗中心・後継者問題

 業歴別では50~100年未満が28社(構成比73.6%)と最多で、100年以上も6社(同15.7%)あり、老舗企業の多さが際立つ。従業員別では5人未満と5~10人未満で計65.7%を占め、小規模事業者中心の産業構造となっている。一方で、経営者や職人の高齢化に伴う後継者確保が課題であり、販路拡大やブランド構築、資金支援など多様な支援の活用が、今後の持続的成長に向けた鍵となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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