【村山貢司の気象&経済歳時記】エルニーニョとラニーニャ

 2016年の夏は猛暑と大雨、台風が混在する不安定な天候になった。この原因は主に南太平洋でのエルニーニョであるらしい。昨年から続いていたエルニーニョは初夏に終息に向かったが、影響は秋まで残り、9月は記録的な長雨と日照不足になった。現在はエルニーニョから正反対のラニーニャに急速に移行しており、少なくともこの冬から春にかけてラニーニャが続く見込みである。

 ラニーニャが発生した時の日本の冬は、西日本を中心に寒気が南下しやすくなる。簡単に言えば寒くなる。ラニーニャ発生時の過去の天候を見ると東日本から西日本では気温が低くなる場合が46%、平年並みの場合が39%である。つまり85%の確率で気温は平年並みか平年より低くなる。北日本では平年より低いが38%、平年並みが47%である。いずれにしてもこの冬は暖冬の可能性はかなり低く。全国的に平年並みか低い気温になるだろう。

 特に冬の前半は西日本を中心に11月後半から気温が下がり、東日本でも早めに平年並みの気温になるために、冬物の出足は昨年よりも早めになるであろう。

 問題は日本が寒くなる時は同時に北米東部やヨーロッパにも寒気が南下しやすくなることで、オペックの減産合意によって原油価格の上昇が懸念されているが、日米欧の寒さがさらなる原油価格の上昇につながる恐れがある。

 ラニーニャが持続した場合、日本は春も低温傾向が続くことが多く、山の積雪が多くなるために関東などの水不足の心配は小さい。初夏からは気温が急上昇し、夏は猛暑になることが多くなる。経済や農業への影響が大きいのでこの先の気候の推移には目が離せない。(村山貢司=気象予報士・経済評論家)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る