【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】高齢者定義の見直し

 年始から各メディアで、「高齢者定義の見直し(65歳から75歳へ)」の話題が多く取り上げられています。日本老年学会の『高齢者の身体機能や知的能力は年々若返る傾向にあり、現在の高齢者は10~20年前に比べて5~10歳は若返っていると想定される。高齢者には社会活動を営む能力がある人もおり、就労やボランティア活動など社会参加できる社会をつくることが大切である』との声明から、この見直し論議になっています。私の医療現場の現況からも「生物学的年齢の低下」が実感されるも、この見直しは医学的側面だけでなく社会・経済的観点(特に高齢者の就業継続)からの議論が重要と考えます。

 ご自身が高齢者の若返りに対応しているかの評価は、生活機能評価が適しています。以前は(1)手段的自立(バスや電車で1人での外出、日用品の買い物ができますか、など)、(2)知的能動性(年金書類が書け、新聞を読んでいますか、など)、(3)社会的役割(友の家を訪ねますかなど)で機能評価をしていました。

 近年「活動能力指標利用マニュアル」では、より現代生活への適応を重視しています。
 (1)新機器利用4項目(携帯電話の使用、ATMの使用、ビデオやDVDプレーヤーの操作、携帯電話やパソコンのメールができますか)、(2)情報収集4項目(外国ニュースに関心がある、健康情報の信ぴょう性を判断できますか、美術品,映画,音楽を鑑賞しますか、教養番組を視聴していますか)、(3)生活マネジメント4項目(詐欺,ひったくり,空き巣等の被害への対策をしていますか、生活の中で工夫をしていますか、病人の看病ができますか、孫や家族,知人の世話をしていますか)、(4)社会的参加4項目(地域のお祭りや行事に参加していますか、町内会・自治会で活動していますか、自治会やグループ活動の世話役や役職を引き受けることができますか、奉仕活動やボランティア活動をしていますか
 の計16項目が、健康寿命延長との関連性が高いことが報告されています。ぜひ16項目を意識しながら生活機能を向上させ、若返って下さい。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)

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