CRI・ミドルウェア:初のM&Aで画像最適化技術が加わり開発や製品構成が充実

■「対象市場を同じくしながら重複しない技術」とし相乗効果は大きい模様

 CRI・ミドルウェア<3698>(東マ)は10日午後、画像最適化ソフトウェアの開発を行う株式会社ウェブテクノロジ(東京都豊島区)、およびその販売を⾏う関連会社・株式会社ウェブテクノロジ・コム(同)の株式取得(完全子会社化)を発表した。同社としては初のM&Aになる。同時に第2四半期の連結決算(2017年10月~18年3月累計)も発表した。

■ほぼすべてのデジタルコンテンツ開発がカバー可能に

 同社は、創業以来、ゲーム等のソフトウェア開発をスムーズかつ効率的に⾏うための⾳声・映像ミドルウェア「CRIWARE(シーアールアイウェア)」を開発し提供する大手。音声や映像・動画の品質を損なわないデータ圧縮や、通常では難しい特殊演出を可能にする技術により、近年は、ゲームで培った高度な技術をIoT等でデジタル化が進む分野に活かすべく、「話す家電」や「語りかけるクルマ」などの近未来技術、高映像の監視カメラなどに展開を進めている。

 一方、ウェブテクノロジ社は、画像最適化ソフトウェアを開発し、同じくゲーム業界を対象に、⼤⼿ゲーム会社からインディーゲームまで幅広く提供している。⾼画質な画像データは⾊情報を多く必要とするためデータサイズが⼤きくなり、処理に負荷がかかるのが課題だが、同社は、⾼度な減⾊技術により、画質のクオリティを変えずにデータサイズを⼩さくすることを実現した。この画像最適化技術は、デジタル放送でも採⽤されるなど定評があり、カーナビや家電、ウェブサイト向けにも展開している。

 両社は、対象市場を同じくしながら、重複しない技術を展開している。このため、CRI・ミドルウェアでは、今回の株式取得により「製品構成の充実をはかり顧客満⾜度を⾼めると同時に、販売⾯における相乗効果と効率化に繋がる」としている。CRIの⾳声・映像技術に、ウェブテクノロジの画像最適化技術が加わることで、ほぼすべてのデジタルコンテンツ開発をカバーすることが可能になるとした。

■第2四半期は基盤強化期から投資回収型の展開になり営業利益3倍

 同時に発表した第2四半期の連結決算(2017年10月~18年3月累計)は、売上高が前年同期比15.1%増加して7億300万円となった。ゲーム分野では、国内スマートフォンゲーム向けなどが好調に推移し、組込み分野では、音響機器向け大型案件の受注があったほか、家電向けの音声組込みソフトに関する許諾が増加。監視カメラではLTE接続式の高度システムで動画圧縮の受注などがあった。

 こうした展開により、営業利益は前年同期の約3倍の1億2400万円となり、純利益も同じく3倍近い8800万円に急回復した。「前期までは成長のための事業基盤強化にリソースを投入してきたが、今期は投資回収型の展開になっている」(同社)とした。

 9月通期の連結業績見通しは、4月に増額修正した数値を据え置き、売上高は前期比19.1%増の15億円、営業利益は同2.5倍の3億円、純利益は同2.6倍の2億1000万円、1株利益は44円36銭。

 このたびの画像最適化ソフトウェア開発のウェブテクノロジ社の子会社化にともなう効果は来期からになるもようだが、18年3月にはイスラエル企業との提携を実現しており、ともに業績拡大に向けた期待材料になりそうだ。(HC)

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