日本化学工業、フッ素フリー帯電防止剤を開発、PFAS規制対応で環境転換を加速

■30年の合成技術を応用し、樹脂相溶型イオン液体帯電防止剤を開発

 日本化学工業<4092>(東証プライム)は11月12日、フッ素を使用しないホスホニウム系帯電防止剤を開発したと発表した。世界的に拡大するPFAS(有機フッ素化合物)規制への対応を目的としたもので、同社が30年以上にわたり培ってきたホスフィン誘導体の合成技術を応用した。従来のフッ素系帯電防止剤に代わる環境配慮型の新素材として注目される。

 同製品はイオン液体タイプの帯電防止剤で、各種樹脂との高い相溶性を持つ点が特徴である。用途に応じて複数グレードの開発も進めており、顧客ニーズに応じた製品展開を目指す。PFAS規制は環境や健康への影響を懸念し、EUや米国、日本などで段階的な使用制限が進む中、同社は福島第二工場(福島県田村郡)における実機製造に早期着手する体制を整えた。世界的な規制対応を追い風に、同社の環境対応型化学品事業の拡大が見込まれる。

 日本化学工業は中期経営計画の重点項目として「成長戦略の推進と新たな価値の創造」を掲げており、今回の開発はその一環と位置付けられる。持続可能な社会の実現に向けて、環境負荷の低減と高機能材料の両立を目指す姿勢を明確にした。同製品は今後、各種展示会にも出展予定であり、顧客や業界関係者との情報交流を通じて評価を広げる方針である。PFAS代替技術の市場拡大が進む中、同社の開発成果は化学産業における環境転換の象徴となり得る。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ジャイアンツ球場隣接の221邸、シニアの健康・交流を支える新拠点に  フージャースホールディング…
  2. ■IT・スタートアップ中心に若手CEO台頭、経営のスピード化が進展  帝国データバンクは10月14…
  3. ■自律制御とフライバイワイヤ技術でパイロット不要、26年初飛行予定  ロッキード・マーティン(NY…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る