【株式評論家の視点】ワールドは夏物商材の動きが早々に活況、徐々に上値を試す展開を予想

株式評論家の視点

 ワールド<3612>(東1)は、昨年9月28日に東京証券取引所市場第一部に再上場した。2005年11月のマネジメント・バイアウト(MBO)で上場を廃止してから13年ぶりの上場で、同社グループは、2017年4月に同社を事業持株会社とする持株会社体制に移行。19年3月期を次なるトランスフォーメーション(変革)に向けた3か年のスタートの年として、ブランド事業、投資事業、デジタル事業、プラットフォーム事業のそれぞれが、市場の変化を的確に捉え、相互に連携することで、総合ファッションサービスを実現。従来のブランド事業とプラットフォーム事業に加えて、新たに投資事業とデジタル事業をセグメントとして構築し、収益化にむけた取り組みを開始している。


 前2019年3月期は、既存ブランドの商品力の強化に加えて、次世代のビジネスマンに向けて、オーダービジネスを展開するメンズブランド「アンビルト タケオキクチ」をスタートし、デジタルプラットフォームを活用した新たなビジネスモデルへ着手したほか、同社事業と親和性の高い企業の積極的なM&Aに取り組み。具体的には、ユーズドセレクショップを営む株式会社ティンパンアレイ、高級革製品の株式会社ヒロフの子会社化や子供服大手の株式会社ナルミヤ・インターナショナルの持分法適用関連会社化により、事業ポートフォリオの幅を広げたほか、子会社の株式会社ファッション・コ・ラボは、ビーノス株式会社との共同出資により、年々ニーズが高まるファッション特化型の越境EC運営を目的としたファスビー株式会社を設立。更には、ファッション業界全体の活性化を目指し、クラウドファンディングのリーディングカンパニーである株式会社キ ャンプファイヤーとの資本・業務提携により、両社のシナジーを活かした次代を担うクリエーター発掘にも参画した。

 今20年3月期第2四半期業績予想は、売上高1167億3400万円(前年同期比0.4%減)、営業利益63億6200万円(同6.6%増)、経常利益56億6300万円(同8.9%増)、純利益36億4400万円(同9.1%増)を見込む。

 今20年3月期業績予想は、売上高2500億円(前期比0.1%増)、営業利益166億円(同12.0%増)、経常利益152億円(同11.8%増)、純利益99億円(同7.6%増)を見込む。主力のブランド事業では、ミドルロワー業態の利益回復と投資ブランドの収益伸長を計画。デジタル事業では、先行投資の負担で一時的に減益となるものの、外部収益面では成長ドライバーの役割を担う。プラットフォーム事業は、販売PFにおけるリテール部門での事業終息や販売代行のコスト増で減収減益予想だが、全体では増益となる見通し。年間配当予想は、69円(第2四半期末25円、期末44円)の19円増配を予定している。

 株価は、昨年9月28日につけた上場来高値は2779円から同12月25日につけた上場来安値1290円まで調整を挟んで5月10日に年初来高値2475円と上昇。その後は、モミ合っている。6月5日に発表した5月の月次売上概況は、国内小売売上が前年同月比100.2%(店舗売上が同99.7%、Eコマース売上が104.4%)、既存店売上は前年同月比101.5%と上向いている。改元に伴う大型連休がプラスに影響したほか、上旬は気温が上昇に転じ、夏物商材の動きが早々に活況となっている。今期予想PER7倍台と割安感があり、配当利回り3.1%と利回り妙味もソコソコあり、2200円割れで下値を固め、徐々に上値を試す展開を予想する。(株式評論家・信濃川)

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