トヨタ自動車、デンソー福島工場で『MIRAI』の技術を活かした水電解装置の稼働を開始

■ 水素活用による福島での工場カーボンニュートラルの取り組みを加速

 トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は、2021年6月以降、福島県と共同で『福島発』の水素・技術を活用した新たな未来のまちづくりに向けた活動を進めている。この一環としてトヨタは、デンソー<6902>(東証プライム)ーグループと連携して、工場におけるカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーとあわせて水素の利活用に取り組んでいる。

 このほどトヨタは、「MIRAI」のFCスタックなどを流用して、水を電気分解して水素を製造する水電解装置を新たに開発し、今後の普及促進に向けた技術実装の場として、2023年3月にデンソー福島(デンソー福島工場)において稼働を開始した。今後、この水電解装置で製造したクリーンな水素を工場ガス炉で自家消費する『水素地産地消』モデルの構築を目指して取り組みを加速させていく。

 さらに、こうした水素利活用モデルの構築に向けた取り組み内容を広く公開し、様々な業界や地域において多くの方々に仲間入りしてもらい、実装の輪が広がっていくことが望まれる。

※デンソー福島工場における水素利活用は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として実施する。

 トヨタはカーボンニュートラルの実現に貢献するために、CO2排出量の削減を目指した取り組みを進める中で、水素を重要な燃料と位置づけている。こうして、乗用・商用のトラックやバスを含めた燃料電池自動車(FCEV)だけではなく、FC定置式発電機の開発・実証運転などFC製品の普及による水素利活用の促進を目指し、水素を『つくる/はこぶ/ためる/つかう』の各領域において、様々な業界のパートナーとの取り組みを進めている。

 これまでトヨタは、FCEVやFC定置式発電機、工場での製造時などで水素を『つかう』とともに、水素運搬のためのFCトラックの開発・製造など『はこぶ』活動を進めてきた。今回の水電解装置の開発による水素製造に加え、今後、タイで家畜糞尿から発生するバイオガスを活用した水素製造に取り組むことにより、「つくる」領域で選択肢が拡大することが期待される。

■水電解装置の特徴

 「MIRAI」やFCバス「SORA」に搭載しているFCスタックを流用した水電解装置は、トヨタが長年にわたるFCEV開発で培ってきた技術や世界中で蓄積してきた知見・ノウハウを活かして新開発したもので、以下の特徴を有している。

・水電解装置としては世界最高水準の高効率(低消費電力)を実現・FCスタックを流用することで、コスト削減や品質向上につながる・FCスタックと同じく、水素製造時に発生する熱を利用することで、冷却システムが不要になり、構成部品数が少なくなる・FCスタックと同じく、水素製造時に発生する酸素を利用することで、酸素供給システムが不要になり、構成部品数が少なくなる・FCスタックと同じく、水素製造時に必要な水は循環させることで、水供給システムが不要になり、構成部品数が少なくなる

 これらの特徴により、トヨタは水電解装置の小型化や軽量化を実現し、「MIRAI」や「SORA」と同等のサイズ(幅約1.8m×奥行き約0.9m×高さ約1.6m)で1時間あたり100Nm3以上の水素製造能力)を持つ装置を開発した。また、「MIRAI」や「SORA」と同じように複数台連結させることで大規模化も可能である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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