【小倉正男の経済コラム】野菜不足解消「パッケージサラダ」が野菜ジュースを超えた

■コロナ収束の明暗、経済はバーチャルよりリアル

 コロナ収束、変化はかなり凄まじい。やはり、経済はバーチャルよりリアルということになる。人々が動かないと経済は活況にはならない。

 銀座三越などの百貨店を覗いてみても、洋菓子売り場など複数箇所でお客が何列にも並んで順番待ちしているといった盛況ぶりである。百貨店売り場に“並び現象“ということで、まるでディズニーランドのようになっている。百貨店、アパレル専門店向けの紙袋需要が急復活していると聞いていたのだが納得である。

 反面、バーチャルの極致だった「オンライン展示会」などは窮地にあるようだ。コロナでリアル展示会は開催できなかった。オンラインで展示会が盛んに行われたものである。企業が商品を出展し、顧客企業などが資料を請求し、展示会開催企業がそれをつなぐビジネスである。こうしたバーチャルビジネスがコロナ収束で急減している。

■野菜不足解消=パッケージサラダが野菜ジュースを追い抜く

 サラダクラブが、「サラダ白書2023」と9月4日発売の「カラダがよろこぶサラダ」シリーズをミッドタウン日比谷で発表するというので出席した。

 サラダ白書によると、野菜を採るために食べているメニューは1位「生野菜のサラダ」、2位は「野菜炒め」。野菜不足解消に利用したい商品は「パッケージサラダ」が2年連続1位となった。サラダクラブにとっては画期的な出来事に近い。以前は野菜ジュースが長らく1位を独占していたのが事実である。

 サラダクラブとしては、コロナ禍で手軽さだけではなく野菜をしっかり摂取するという要素が重視されてきたと分析している。これはパッケージサラダ、野菜ジュースの両業界にあらためて衝撃となっている。

 サラダをつくる場合、重視しているのは「栄養バランス」「新鮮な野菜」「手間をかけない」などが僅差で並んでいる。特に20~30代女性は「時短」「おカネをかけない」のスコアが高い。サラダ白書によると「タイパ」(タイムパフォーマンス)、「コスパ」(コストパフォーマンス)を求める傾向があるとしている。

■サラダは本来的に手間のかかるメニュー

 サラダというものはつくってみると案外手間がかかる料理である。レタス、キュウリ、トマト、キャベツ、タマネギと生野菜を用意しなければならない。それらを切ったり、ちぎったりと下処理をする。カボチャなどは蒸す必要がある。ソーセージ、目玉焼きを添えるとなると調理しなければならない。タイパ、コスパとも本来的にそう良好なものではなく、それだけにそうした要求となっているのかもしれない。

 最近では、朝にトーストを焼くのでも水蒸気を籠もらせてパンに水分を加えたり、高温で焦げ目をつくったりと以前とは相当に違っている。ただ、それでもトーストのタイパなど、サラダに比べたらまったく楽なものである。

 朝のサラダ、トーストはどちらも主役というよりは、どちらかといえば脇役系キャラクターの食べ物といえる。しかし、これらがないと1日が始まらない。タイパ、コスパも重要だが、朝の多忙な時間では事実上ともに主役を張っているといって間違いない。(経済ジャーナリスト)

(小倉正男=「M&A資本主義」「トヨタとイトーヨーカ堂」(東洋経済新報社刊)、「日本の時短革命」「倒れない経営~クライシスマネジメントとは何か」(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長などを経て経済ジャーナリスト。2012年から当「経済コラム」を担当)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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