【編集長の視点】DM三井製糖は43年ぶり高値の砂糖相場でV字回復、GC示現で上昇トレンド入り

■値上げ効果で増益転換

 DM三井製糖ホールディングス<2109>(東証プライム)の株価は、今年2月2日に昨年来高値3445円まで買い進まれており、目先の利益を確定する売り物が出て25移動平均線を挟んでもみ合っており、押し目買いも交錯している。今年1月24日付けの日本経済新聞で、国内砂糖相場が、43年ぶりの高値となったことが報じられたことから、同社が今年1月31日に発表した今2024年3月期第3四半期(2023年4月~12月期、3Q)決算が、大幅増益転換して着地したことが引き続き買い手掛かりとなっている。テクニカル的にも、昨年来高値まで買い進まれるなかで25日移動平均線が、75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆してきただけに、25日線固めからの再騰期待につながっている。

■2回の値上げでコスト高を価格転嫁しインバウンド向けなどに販売量も拡大

 国内の砂糖卸値は、原材料の粗糖の高騰に対応し製糖各社が、昨年10月~12月に値上げを実施しこれが特約店(問屋)に満額浸透したことから家庭用上白糖の東京の市中卸値では、1キログラム249円~251円へ上昇し、1980年12月以来の高値となった。DM三井製糖も、この原料高や海上運賃、包装資材、物流費上昇のコスト増を価格転嫁するために昨年7月、10月と値上げを実施しており、これが今期3Qの好決算要因となった。

 3Q業績は、売り上げ1293億9800万円(前年同期比4.6%増)、営業利益24億3000万円(同95.4%増)、経常利益73億6900万円(同8.04倍)、純利益65億200万円(前年同期は2億900万円の赤字)とV字回復した。国内の精糖販売は、インバウンド需要の回復に加え昨夏の猛暑で夏物商品向けが好調に推移し、コスト増の価格転嫁、国内投資先からの受取配当金44億5700万円、機能性食品の開発権・販売権許諾に基づく受取ロイヤリティー9億7100万円などが上乗せとなったことなどが要因となった。今3月期通期業績は、期初予想を据え置き売り上げ1733億円(前期比5.9%増)、営業利益50億円(同4.54倍)、営業利益100億円(同47.5%減)、純利益75億円(同5.2%減)と見込み、年間配当は120円(前期実績120円)を予定している。

■GC示現を見直しPER13倍、PBR0.9倍、配当利回3.7%の割安修正に再発進

 株価は、前期業績の上方修正・増配を起点に下値を切り上げ、相次ぐ値上げ、猛暑関連株人気が続いて3270円まで買い進まれ、その後の3000円大台出没から国内砂糖卸売価格の高騰と3Q好決算が相乗して昨年来高値3445円まで再騰し25日線が75日線を上抜くGCを示現して上昇トレンド転換を示唆した。足元では、高値もみ合いとなっているが、PERは13.8倍、PBRは0.96倍、配当利回りは3.73%と割安である。昨年来高値奪回から2017年12月につけた上場来高値4940円を目指し再発進しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■地域と共に築いた「鮪解体ショー」で世界一の舞台へ  銚子丸<3075>(東証スタンダード)は、同…
  2. ■速乾・吸水機能を備えたブラ&ショーツ、11月7日から応援購入受付  グンゼ<3002>(東証プラ…
  3. 日産自動車 日産 NISSAN
    ■経営再建計画の一環として保有資産を最適化、20年間の賃貸借契約で本社機能維持  日産自動車<72…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  2. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  3. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…
  4. ■師走相場は最終レースさながら、勝ち負け分ける「掉尾の一振」に熱視線  師走である。礼節一点張りの…
  5. ■金利環境改善が銀行株に追い風、逆張りの買いも有力視  今週の当コラムは、銀行株に注目することにし…
  6. ■「トリプル安」も怖くない!?逆張りのバリュー株ローテーションからは銀行株になお上値余地  「神風…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る