【今日の言葉】安倍政権4年目、次の一手待つマーケット

『安倍政権4年目、次の一手待つマーケット』=7日、安倍改造内閣がスタートした。主要閣僚及び自民党の主要ポストは改造前とほぼ同じ顔ぶれだ。アベノミクス貫徹という意気込みの表れと受け取れば評価できるのではなかろうか。新米閣僚だと勢い込んでつまらぬ発言で内閣が揺らぐ心配があるが、手馴れた閣僚ならその心配はないからだ。

少し振り返ると民主党から自民党へ政権が移ったのは2012年暮れ。当事はデフレ感の強い中で閉塞感が漂い、日経平均は9000円割れ水準で元気のない動きだった。2013年早々からアベノミクスの登場で先ずマーケットから活気づき社会にも明るさと希望が点った。

そして、3年経った2015年秋。今回の安倍改造内閣と3年前とどう違うのだろうか。一つには、「3年経過」という日柄からくる国民の慣れ・飽きがある。これは、けっこう大きい。相場の世界でも、「大回り3年」は大きいフシに当っている。新婚生活3年の重要なフシとも似ている。とくに、いちばん怖いのは、「アベノミクス」に対する期待感が薄れることである。

実際、アベノミクスがスタートした当事はアベノミクスという言葉に対する新鮮さと大きい期待があった。とくに、当初はデフレ脱却、言い換えると、なりふり構わず景気を良くしようという1点集中だった。それが、現在のアベノミクスでは1億人総活躍社会、GDP600兆円の目標など、一見、具体的数字が出ているものの、言葉ばかりが大きく先行して即効性と具体性に欠けていることは否定できない。

この点をいちばんよく見抜いているのはマーケットである。既に、日経平均は3年前の9000円割れ水準から今年6月の2万0952円までほぼ2.3倍となってアベノミクスをかなりの部分、織り込んだ展開となっている。国家と企業を一緒にはできないが、あえて比較すれば、企業の中期3カ年計画では数値目標と同時に目標を達成するための具体的な実行計画が示される。この点、今回の新3本矢政策は実行計画に欠け迫力不足といわざるを得ない。

とくに、2.3倍にも上昇した日経平均をさらに上昇させるには具体的な策を次々と打ち出していく必要があるだろう。たとえば、第3次金融量的緩和、地方創生なら首都移転とまでは言わないが道州制導入とか省庁の地方都市への移転、カジノの早期導入なども考えられる。マーケットは次の一手を待っている。

本日のアクセスランキング

  1. 首里城正殿、焼失から5年9ヶ月ぶりに外観を完全復元、素屋根の中で全貌を現す
  2. Google、AI学習データを最大1万分の1に削減する新技術、少ないデータで人間並みの精度を実現
  3. 【株式市場特集】決算発表と好材料同時発表で株価急伸の銘柄群を分析
  4. 東京建物、株主優待制度を新設、長期保有でWEBギフトや施設割引券を進呈
  5. 【この一冊】ノーベル賞経済学者が描く公正で自由な社会『スティグリッツ 資本主義と自由』、注目の書評続々で3刷決定
  6. JR東海とJR西日本、新幹線荷物輸送を直通化、「東海道超マッハ便」を当日申し込みで即日配送
  7. I-ne、株主優待制度を拡充へ、保有株数に応じてポイント付与
  8. ZACROSが急伸、9月末に株式4分割、6か月ぶりに年初来の高値を更新
  9. キオクシアHDが13%高、第1四半期決算は前年同期比で減だが計画対比で好調
  10. 【どう見るこの相場】TOPIX最高値更新、日経平均も史上高値迫る、強気相場の行方に注目

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. 【ダブルセット・フルセット銘柄、夏休み明けも底堅さに期待】 ■上方修正・増配・株式分割の好材料銘柄…
  2. ■上方修正・下方修正問わず買い集まる異例の展開  3連休入りした9日の成田空港では、夏休みを海外で…
  3. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  4. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  5. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  6. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る