日立と住友化学、AIで工場エネルギー効率化へ、生産計画自動立案システムの実証実験を開始

6501 日立製作所

■熟練者のノウハウをAIで再現、持続可能な工場運営を目指す

 日立製作所<6501>(東証プライム)と住友化学<4005>(東証プライム)は3月27日、AIを活用した生産計画自動立案システムの実用化に向けた検証を、住友化学千葉工場・袖ケ浦地区で開始したと発表。このシステムは、日立が開発した「TSPlanner」を活用し、生産計画とエネルギー消費量の両面から最適化を図るものだ。事前検証ではエネルギー消費量の一定削減を確認しており、今後は住友化学の他工場への展開も検討される。この取り組みは、生産性向上と環境負荷低減の両立を目指し、DXとGXの実現に貢献するものだ。

 地球温暖化とエネルギー価格の高騰を背景に、企業にはカーボンニュートラルへの取り組みとエネルギー効率化が求められている。国内では生産年齢人口の減少も進み、製造現場の負担軽減が急務だ。化学業界はエネルギー消費量が多く、住友化学では大規模なエネルギー管理と複雑な生産計画立案の両立が課題となっていた。日立は、IT、OT、プロダクトの強みと豊富な知見を生かし、Lumadaソリューションなどを提供してきた。今回、日立はこれらの技術・ノウハウを活用し、住友化学千葉工場での生産性と省エネの両立を目指す。

 同システムは、日立が独自開発した計画連携エンジンを活用し、「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」と統合エネルギー・設備マネジメントサービスを統合するものだ。これにより、工場全体の生産計画とエネルギー消費量を総合的に考慮し、最適な稼働バランスを維持しながら、エネルギー消費量とCO2排出量を削減する。また、生産とエネルギーのデータを統合することで、工場全体の状況を可視化し、部門を超えた調整を可能にする。このシステム導入は、生産計画とエネルギーマネジメントにとどまらず、工場全体のDXとGXを推進する第一歩となる。

 同システム導入により、DXの観点からは、需要予測、在庫管理、基幹システムなどとの連携を強化し、迅速かつ最適な意思決定を可能にする。GXの観点からは、自己託送の活用、カーボンプライシングへの対応、需給調整市場への参画を促進し、電力需要の平準化や再生可能エネルギーの最適活用を図る。日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しており、Lumadaソリューションを通じて顧客や社会の課題解決を目指す。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■昔ながらの味わいを現代風にアレンジ、全国スーパーなどで展開  第一屋製パン<2215>(東証スタ…
  2.  日清食品ホールディングス<2897>(東証プライム)傘下の日清食品は8月18日、「カップヌードル…
  3. ■世界が注目する学問を豊富な事例とイラストで紹介  学研ホールディングス<9470>(東証プライム…
2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ピックアップ記事

  1. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  2. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…
  3. ■自民党総裁選と連立問題が相場を左右、短期急伸と急落を交錯  高市トレードは、まるで「超高速エレベ…
  4. ■東京市場、リスクオンとリスクオフが交錯、安全資産関連株に注目  週明けの東京市場は、米国株反発に…
  5. ■公明党離脱ショック一服、臨時国会控え市場は模索  またまた「TACO(トランプはいつも尻込みして…
  6. ■自民党人事でハト派ムード先行、逆張りで妙味狙う投資戦略も  今週の当コラムは、ハト派総裁とタカ派…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る